●末尾ルコ「映画の愉しみ(楽しみ)方」講座~B級カーアクション『アウトバーン』の評価、興行成績が散々だという困った状況。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

アクション映画とかスリラーサスペンス映画とかを馬鹿にする人がいるけれど、だいたいそうした人は「人間愛を謳った映画」とか「社会問題をテーマにした映画」などを無条件で上だと信じ込んでいるもので、しかし映画というものはそんな狭く堅苦しいものではないことはしっかり映画好きなら誰でも理解しているはずである。
ついでに書いておくと、「映画好き」を自認している人たちの中にも、「映画は娯楽以外の何者でもない」とご丁寧に宣言してくださってる方々がいるけれど、(何であんたにそんなこと決められなきゃならないんだ!)と馬鹿馬鹿しくもいつも小さく憤慨するのである。
もちろん誰でも、「映画はこうだ」と思うのは自由だけれど、少なくとも「映画ファン」を自認している人たちの中に、わざわざ映画を「より狭い世界」に囲いたい不届き者が存在するのが残念なのだ。

というわけで、ドイツを舞台とした『アウトバーン』〈原題『Collide』〉という映画がなかなかおもしろいのだけど、米国でも評価、興行成績も散々で、このような心地よく観ることができるB級アクションがなかなか成功しないのが困った状況なのだ。