●紫雷イオVSトニー・ストームはどうして凡戦となってしまったのか?ロイターが英国の女子プロレス団体「イブ」についての記事を掲載。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

YouTubeで女子プロレス団体スターダムのタイトルマッチ 紫雷イオVSトニー・ストームを観たのだが、この試合はとても「成功」と言えるものではなかった。
好試合とならなかった大きな要因は対戦相手のトニー・ストームにあったのだと思う。
トニー・ストーム、プロレスが下手である。
動きは鈍くギクシャクしており、技もキレがなく、観客に対するアピールも野暮ったい。
(えらく、下手なレスラーだなあ)と怪訝に感じ、プロフィールを調べてみると、1995年10月19日生まれの現在21歳と記されてあった。
なるほど、である。
一般スポーツならば、20歳前後で大活躍もあり得るけれど、プロレスの場合はある程度の年数の経験によって、しっかり試合を作ることができるようになるのが普通である。(例外もあるだろうが)
トニー・ストームの21歳はいかにも若過ぎて、紫雷イオがリードしながら試合を組み立てていくのに苦心しているのがありありと伝わってきた。

ところで最近「イギリスのロンドンで女子プロレスが人気に Netflixのドラマが影響」というタイトルのロイターの記事が目を引いた。
記事内容はタイトル通りだが、その中で次の部分に注目した。

当該記事で取り上げられた英国の女子プロレス団体は「イブ」という名で、その主催者は「ダン・リード」という人物である。
そのダン・リードの談話として、「みんな、女子プロレスを風俗と同等に見ているのだ」という言葉が取り上げられていた。
そして「人気に」という試合についてだが、「鉄道の高架下の会場で行われ」「総勢200人ほどの観客」、そして「試合は筋書きに沿って行われる」と明確に書かれている。

それにしても「人気に」とタイトルにある記事なのに、観客が「200人」とは、さすがに日本と違い、プロレスが大きなエンターテインメントとして存在したことのない国という感じだ。
そして「筋書きに沿って」とはっきり書かれているが、日本だといまだにこのような書き方をすると、「なんだこの記事は、おらあ~~!」とかいう話になる可能性もあるのだろう。
しかし、「誤魔化せる人はできるだけ誤魔化したままでおこう」という態度はかなり不誠実である。