●わたしにとってほぼ「幻のレスラー」クリス・マルコフの3対1ハンディキャップマッチを視聴してみた。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

力石徹の追悼式が行われた1970年は昭和45年であり、この年は三島由紀夫の自決など極めて大きな事件があったのだが、日本プロレスのワールド・リーグ戦は第12回であり、ジャイアント馬場が優勝している。
前年のワールド・リーグ戦でアントニオ猪木がクリス・マルコフを破って初優勝を果たしたことは日本プロレス史上名高いが、翌年第12回にもマルコフは来日して、ある程度の活躍をしている。
クリス・マルコフというレスラーの名は件の猪木がらみでとても馴染みはあるけれど、「動く姿」をほとんど観たことないという点では、わたしにとって「幻のレスラー」的存在である。
日本プロレス時代を中心に活躍した外国人レスラーの中でも、例えば、フレッド・ブラッシー、ゴリラ・モンスーン、シャープ兄弟、キラー・コワルスキーなどはなにせメジャーな存在で、日本プロレスの試合中継をリアルタイムで観ていなくても多くの情報に接することができたから、「幻」感はほとんどない。
しかしクリス・マルコフに関しては、名前は知っていても、わたしのような「テレビ観戦が全日本プロレスから」という後発のファンにとっては、(あれ?どんな外見で、どんなファイトスタイルの人だったかな??)という感覚なのである。
で、YouTubeで検索してみたのだが、80年代のファイトではいかにも遅すぎるけれど、70年代以前の動画があまりないのですな。
そうした中で、「Andre The Giant vs Chris Markoff, George McCreary & The Jackal #2 (1974) @The Sportatorium」という動画を視聴してみたが、1対3のハンディキャップマッチ。
アンドレ・ザ・ジャイアント一人に対して、「3人の一人」として戦うクリス・マルコフ。
とにかくアンドレ、でかいのであるが、この頃からすでに腹は出ていて重そうである。
1対3ハンディキャップマッチならではのお約束の楽しい展開の中、(これがワールド・リーグで活躍したクリス・マルコフのファイトか!)という実感はまったく得られなかったのである。