●3憶ドル(約330億円)と1憶ドル(約110億円)って、「世紀の茶番」にこれ?アリVS猪木との違いは?

末尾ルコ「格闘技とプロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

日本時間8月27日に行われたフロイド・メイウェザーVSコナー・マクレガーは予想通り、メイウェザーの10ラウンドTKO勝ちで終わった。
もちろんボクシングルールである。
まがりなりにも(←この言葉には多くの意味を含ませているが)プロボクシング49戦無敗の元5階級王者メイウェザーと総合格闘家でプロボクシング初挑戦のマクレガーが手にした「金」は、前者が3憶ドル(約330億円)以上、後者が1憶ドル(約110億円)近くとも伝えられている。

・・・・・・どうですか?馬鹿馬鹿しくて、やってれないと思いませんか?
一試合でこの額。
サッカー、テニス、NBAなどのスーパースターたちでも容易に稼げないたまげた数字である。
この試合、そしてこの巨額のマネーを見て、つくづく「ものの価値と金」について考えさせられる。
対戦した二人がこれだけの額を手にできるということは、それだけの「需要」があったということである。
しかしこの「茶番」を「観たい」という人がそれだけ存在する世界とはどのような世界なのだろう。
かつて1976年、日本でモハメッド・アリとアントニオ猪木が「格闘技世界一決定戦」と銘打った試合を行い、試合直後は「茶番」と呼ばれたが、メイウェザーVSマクレガーの結果や展開を知った今、アリと猪木の試合は神々しささえ湛えているような気がする。
もちろんこの感覚は、日本の、しかも当時プロレスを熱心に観ていた者でないとなかなか理解し難いものかもしれないが。
それにしてもよくぞアントニオ猪木側はモハメッド・アリ側と交渉に持ち込み、あのような世にも不可解な試合へと持って行ったものだ。
もちろん当時は現在のように情報網も発達しておらず、アリとしては日本のプロレスラーと「何らかの」試合をすることなど、「旅の恥はかき捨て」くらいのものだったかもしれない。
そうした点を考え併せても、メイウェザーVSマクレガーの場合、「ルールの検討」など最初から問題外である。
形の上ではビッグマウスを叩きまくり、MMAだけでは生涯かけても到底稼げないほどの莫大な金を手にしたマクレガーだが、立場上は「メイウェザーの手の平で踊らされた忠犬」に見えて仕方ない。
あと、モハメッド・アリとメイウェザーでは比較にもならない。
偉人とチンピラのようなものだ。