●木之内みどりの「レモンのキッス」を聴きながら、児島美ゆきとの共通点を考えつつ70年代の石川さゆりに魅了される。

末尾ルコ「日本芸能史の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

児島美ゆきが1952年生まれ、木之内みどりが1957年生まれ。
5年の年の差があるわけですな。
児島美ゆきと木之内みどりにはキャラクター的に共通する要素があるだろうか。
などと急に思ったのは、山田姉妹が歌った「レモンのキッス」を調べていると、ザ・ピーナッツを始め、いろんな人が歌っていて、その中の一人に木之内みどりがいたのである。
木之内みどりの「レモンのキッス」・・・聴いてみると、そりゃあ声楽のテクニックを駆使する山田姉妹とはまったく違う歌唱だけれど、これがなかなかにいい。
誘惑的な声と歌い方。
往年の木之内みどりのイメージそのままの、いわば青春の色香が充満した歌唱なのである。

実はわたしは例えば中学時代、木之内みどりにさほど興味はなかったのだが、周囲にファンがかなりいた。
特に今で言う、ヤンキー系の男子中学生には抜群の人気だった。
しかし今見ると、やっぱりなかなかいいですよ、木之内みどり。
ただこういう人は、女優としても歌手としてもB級扱いされる傾向はあるが、もったいないはなしである。
本当は木之内みどりのような人をもっと上手に育てる土壌が日本の芸能界にあったならば、もっともっと魅惑的な作品が多くできているはずなのだが。

ところで最近わたしは、70年代の石川さゆりに魅了されている。
もちろん今の石川さゆりも大好きだが、70年代、「津軽海峡 冬景色」などで圧倒的に台頭してきた当時の石川さゆりの映像が素晴らしい。
なにせまず、美人である。
いやホント、「石川さゆりって、こんなに美人だったのか!」という驚きさえあるのだ。
もちろん子どもの頃にも、しょっちゅうテレビに出ていた石川さゆりをよく見ていた。
けれど子どもにとっては演歌歌手はやや別世界の住人という感じだし、石川さゆりほどの整った顔立ちをしっかりと感知するほどの感覚がまだ育ってなかったのだろう。
そして当時の石川さゆりは常にイブニングドレスのような衣装を着用しているのだが、そんな服装で体を斜めにし、腕を大きく派手に振りながら歌う姿。
ど迫力なのである。
しかもまだ10代である。
やはり石川さゆり、若き日から不世出の大歌手だ。