●「世界のどんな国民であれ、民族であれ、その耳を、目を奪うだろう」藤あや子と坂本冬美は年齢を重ねるごとに美しくなる。

末尾ルコ「音楽の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

BSフジで不定期に『藤あや子・坂本冬美・香西かおり・伍代夏子 艶歌四人姫!』という番組を放送している。

同番組の進行が、かつて愚劣な話題で週刊誌などをプチに賑わせた•渡辺和洋アナウンサーなのはどうかという感じなのだが、その点についてはここまでにしておこう。

「艶歌四人姫」と呼ばれているのが、藤あや子・坂本冬美・香西かおり・伍代夏子だが、歌手として、パフォーマーとしての力量は藤あや子・坂本冬美の二人と他の二人ではかなり差がついていると思う。

ところでこの4人の年齢はどうなのだろうと調べてみたら、坂本冬美が最も年下だった。
そして藤あや子が最も年上である。
具体的に言えば、

坂本冬美は、1967年,3月30日生まれで50歳。
藤あや子は、1961年5月10日生まれで56歳。

この二人に6歳差があるのはちょっとした驚きだけれど、さらに驚きは、

「藤あや子が56歳」だという事実だ。

あの美しさ、あのますます洗練されていくパフォーマンス・・・。
今の時代、しっかりと節制、トレーニングを欠かさずに精進し続ければ、年齢という「数字」はいい方向に働きこそすれ、不本意な方向へは行かないのだということを、藤あや子は実証している一人だと言える。

坂本冬美と藤あや子は非常に仲がよいそうである。
なるほどな、と思う。
納得の友人関係である。
友人として二人が語らう時間にどれだけ歌やステージの話題が出ているのかは分からないが、二人とも年々奥深く、洗練度を増し、そして美しくなっている。
実際の話、20代、30代の藤あや子、坂本冬美よりも、50代の現在の方が圧倒的にいい、比較にならないほどいいのである。
この二人のパフォーマンスであれば、正に「世界中のどこに出しても恥ずかしくない」という消極的な評価ではなく、

「世界のどんな国民であれ、民族であれ、その耳を、目を奪うだろう」。

歌唱の充実ぶりは言うまでもなく、着物を着て歌うその所作、表現力は、美空ひばりや島倉千代子ら昭和の大スターたちよりを既に凌駕していると思う。
その一本一本の指先まで神経の行き届いた動き、藤あや子であれば、とりわけ凄いのは、軽く膝を曲げる、ふわりと体の方向を変える・・・そんな動きだけでも極めてドラマティックな表現となっており、呆れるほど艶麗で、目も耳も心も離せないのである。