●今、日本で「デュオ」と言えば、「山田姉妹」!となってほしいことに関連し、Winkの時代をプチに振り返る。

末尾ルコ「音楽の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

山田姉妹の大目標が由紀さおり、安田祥子姉妹であることは早い段階で本人たちが公言しているが、このところザ・ピーナッツの曲を歌唱することが多く、それはザ・ピーナッツが日本のデュオ史上、いろいろな意味で最高峰であるから当然でもあるが、そう言えば80年代にはWinkというデュオが大人気だった時期があったことを思い出した。
もっともWinkが大人気だった時期はさほど長くはなく、概ねデビューからの次の3曲の時期に集中していた。

「愛が止まらない」
「涙をみせないで」
「淋しい熱帯魚」

これらは1988年と1989年のリリースである。
わたしが当時Winkをどう思っていたかというと、「特にどうとも思っていなかった」。
つまり、「いいとも悪いとも、好きとも嫌いとも思ってなかった」というくらいで、しかし上記3曲はいまでもだいたい口ずさめるのだから、まだ「流行歌」の概念は生きていたわけだ。
ところが今現在(2017年10月現在)、わたしがWink動画を視聴した第一印象は、

(これがあれだけ売れていたのか・・・)

というちょっとした驚きである。
どちらも小柄で顔はそりゃあ日本人の平均よりは上だろうけれど(明確な計算に基づくものではありません)、容姿的にも、(おっ!)と感じさせる要素皆無(個人的感想です)の二人が、誰でも歌って踊れるレベルの歌唱とダンスを披露している。
わたしは常に「AKB」的な存在や売り方には批判的なのだが、Winkを見れば、まだAKBの方がパフォーマーとして熟練度が高い。
が、しかし、概ね口パクのAKBに対して、Winkはどうやら実際に歌い踊っているという違いはある。
もっともWinkがあらゆるパフォーマンス機会に口パクでなかったか否かまでは分からないが。

Winkが当時、日本人の多くが口ずさめるほど売れた理由として、「日本では耳新しかったユーロビートを取り入れ」とか「無表情なマリオネット感を」とか説明されることもあるが、「なぜ売れたか」の分析的な文章のほとんどすべてが「後出しジャンケン」なので、わたしはほとんど当てにしていない。
ただ、Winkは、ある時代に一世を風靡した歌手としてはかなり特殊な部類に入ることは確かである。

ちなみに1986年のヒット曲トップ10は次の通りである。

1 プリンセス・プリンセス「Diamonds (ダイアモンド)」
2 プリンセス・プリンセス「世界でいちばん熱い夏」
3 長渕剛「とんぼ」
4光GENJI「太陽がいっぱい」
5Wink「愛が止まらない Turn It Into Love」
6工藤静香「恋一夜」
7Wink「淋しい熱帯魚 Heart On Wave」
8 工藤静香「嵐の素顔」
9 工藤静香「黄砂に吹かれて」
10 Wink「涙をみせないで Boys Don't Cry」

わたしにとって思い入れのある曲が一つとして存在しないのが何とも心地いい(笑)。