●台風22号に殺意?あるいは高橋伴明監督の『赤い玉、』から『ザ・力道山』の存在を確認。

末尾ルコ「日常生活と映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

10月24日。
台風22号の発生を知る。
(ええ加減のせえよ、ぶち殺すぞ、おらー!)と、心が呟いたのはわたしだ。
もちろんわたしはこのようなセリフを口に出すような人間ではない。
アートでレボリューションな紳士であるわたしがこのような任侠一代的セリフを心で呟いたのは、22日に長時間台風の暴風に苦しまられたその直後に、「また台風発生」というニュースを目にしたからであり、しかも今は10月である。
けれど「ぶち殺すぞ!」といったって、台風の場合、何をどうやってぶち殺せばいいのだろうね。
でもあるよね、「天気を殺したくなる」こと。
いやいやいやいや、たとえ「天気」であろうが「台風」であろうが、「ぶち殺す」なんて、そんな心情はいただけない。
「台風だって、頑張って生きてるんだよね」と、コスモスさんに語り掛けてみた昼下がり。

ところで『赤い玉、』という映画を観たのだが、高橋伴明監督で、奥田瑛二主演。
エキサイティングな作品とは言い難かったけれど、ゆったりと楽しんだ。

奥田瑛二はパッとしない映画監督で、大学でも映画の講義を持っている初老の男という役。
初老と言っても奥田瑛二カッコいいものだから、ここでも既にかつての「初老」という概念の範疇ではないのだが、そんな主人公には30代の愛人がいるけれど、一人の女子高生を見かけることで現実と妄想の境が曖昧になってくる。
と、そんな展開であり、高橋伴明監督であるから、当然映画ならではのエロティックなシーンが頻出するのであるが、一瞬登場する高橋惠子がほとんど全盛期のイメージのままでちょっと嬉しくなった旨、お伝えしておくべきだろう。
高橋惠子と言えば、『太陽にほえろ!』でジーパン刑事(松田優作)と心を通わせながらもお互い言い出せず、結局シーパンは殉職してしまうという役が子ども時代に強い印象として残った。
その後高橋惠子が出演した映画などいろいろ観たが、やはり独特の風格があるわけだ。

などと思いながら、あらためて高橋伴明監督のプロフィールをチェックしてみたら、1983年に『ザ・力道山』という映画があった。
これは村松友視が製作しているようで、主題曲を山下洋輔トリオが担当している。
そう言えば村松友視は例の田園コロシアムの「アンドレ・ザ・ジャイアントVSスタン・ハンセン」を山下洋輔と共に観戦したことを書いていたっけ。

しかし『ザ・力道山』・・・そんな映画、知らなかったし!
というわけで、「とりあえず調べてみる」ことはとても大切である。