●「マルセリーノの唄」が聴こえてきませんか?『汚れなき悪戯』の、残酷なまでの美。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

『禁じられた遊び』以上に現在日本で忘れられている映画が『汚れなき悪戯』だ。
『汚れなき悪戯』はスペイン映画で、「マルセリーノ」という名の少年が主人公である。
『禁じられた遊び』のギター曲がほとんど「日本人全員」と言っていいほど隅々まで浸透したほどではないにせよ、『汚れなき悪戯』のテーマ曲「マルセリーノの唄」は大きな人気を博した。
14世紀イタリアの民間伝承を基にしたストーリーは色濃くキリスト教的だけれど、悲痛なのに明るく、残酷なのに心温まる展開に大きな普遍性があることは言うまでもない。