●村上龍『クリトリスにバターを』から「バター犬」なる概念を想起し、橋本真也の長男橋本大地のタイトル奪取についても話題は進む。

末尾ルコ「エロティシズムとプロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

村上龍が芥川賞を獲得した『限りなく透明に近いブルー』がもともとは「クリトリスにバターを」というタイトル案だったことは村上龍本人が書いているのだから間違いないところだけれど、原案通りであれば、テレビなどではタイトルを連呼しづらかったのも間違いないところである。
「クリトリスにバター」
別にこのフレーズから思い出したわけではないが、世の中には「バター犬」なる不届きな概念があるらしいではないか。
「バター犬」・・・。
この言葉を知ったのがいつだったか定かではないが、10代の頃であった可能性は濃厚だ。
もちろん聖心かつ純情まっしぐらのわたしだ。
「バター犬」という文字から連想したのは、

「純粋な北海道産バターによって作られた忠犬ハチ公のように頑是ないワンちゃんのオブジェ」

である。
普通そうですよね#59021;
ところがそうではないらしい。
そう、「バター犬」のコンセプトとは、国内最高のジェントルマンを志すわたしがこの場に書き記すのもおぞましい、不届きかつ不埒な所業をこなす犬だそうではないか。
いかにも許し難い話だ。

と、ここまで書いて、さすがに自分でもこの文章で何を述べたいのか分からなくなってきたので話題を変えよう。

故橋本真也さんの長男の橋本大地がプロレスラーだということは実は知らなかった。
Yahooニュースで最近知ったのだけど、この度大日本プロレスで、世界ストロングヘビー級王座に就いたのだそうだ。
「世界ストロングヘビー級って何なんだ?」とかいう疑問を現在のプロレスに対して持っても仕方ないので持たないが、父親の橋本真也は「闘魂三銃士」の一人で、プロレスをゴールデンタイムに放送していた最晩年の世代の一人でもあると言えるだろう。
しかし実はわたし、橋本真也の試合で強く印象に残っているのは、一連の「VS小川直也」であり、特に1999年1月4日、東京ドーム大会の「無効試合」となった一戦は、何度観ても興味深い内容だった。
あの試合の真相についてはいまだにいろいろ取り沙汰されていて、わたしもどの説が正しいのかはっきり分かりかねる部分もあり、それだけの謎を残した試合はその後まったくないことは間違いない。
そして現在のプロレスにこのような試合を臨んでも詮無いことになっているのもかなり侘しい話なのであるし、40歳にして死去した父と同じ道に敢えて入り、しかもまがりなりにもゴールデンタイムに放送していた新日本プロレスのエース格だった父親とは似ても似つかぬ「大日本プロレス」で試合をしている橋本大地のプロレス観についても興味がなくはないのである。