●「別枠」で『紅白』出場が最初から決まっていたかどうかは知らないが、桑田佳祐や安室奈美恵の性根はいかがなものか?&1973年『日本沈没』は『シン・ゴジラ』より上か?

末尾ルコ「映画と音楽の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

正しく「臍が茶を沸かす」であるところの、NHK『2017紅白歌合戦』、「粘り強い交渉の末」安室奈美恵も桑田佳祐も出演!である。
出演者発表時に既に安室奈美恵も桑田佳祐も出演が決まっていたのに、「粘り強く交渉中のふり」をしていたという証拠をわたしは何ら持っているわけではないけれど、そりゃあ思う罠、いや思うわな、「最初から決まっていたのだろう」と。
なにせ桑田佳祐も安室奈美恵も最近しっかりNHKの番組へ出ているのだし。
それにしても「別枠」で「紅白出場」という神経が気が知れない。
どんなに売れていても、どんなに伝説的な歌手として存在していても、「『紅白』には絶対出ない」という人も少なからずいて、わたしはそのスタンスは実に見識あるものだと思うけれど、「他の歌手と同じステージには立たないけれど、別格の歌手として中継なら出てやる」というやり口はどうにも気色悪い。

それはさて置き、、『日本沈没』の方が『シン・ゴジラ』よりおもしろいのですわ。
『シン・ゴジラ』がそんなにダメと言ってるわけではないし、好きか嫌いかと問われれば、どちらかと言えば「好き」な方である、あの映画。
しかし一部「識者」などが殊更大袈裟に騒いでいるのを見ると、(それはちょっと違うんじゃない)という、わたしにとって『シン・ゴジラ』の出来はそのくらいのものだが如何か?
で、WOWOWで『日本沈没』をやっていたので、って、あの地殻変動より柴咲コウの顔の方が怖いリメイクの方じゃないですよ。1973年、小松左京の原作ベストセラーを受けて制作された大ヒット作。
主演の藤岡弘は脂ぎっているし、何といしだあゆみも脂ぎっている。
さらに総理大臣役の丹波哲郎が真面目に演技している。
いや、正直言えば、映画としての完成度では『シン・ゴジラ』の方がそりゃあ上だ。
『日本沈没』は終盤完璧に破綻する。
しかしそれでも途中まで、「もし日本人が国土を失えば」というシミュレーションが必ずしも現実的とは言えないまでも、一定の知的作業として鑑賞者に提示される。
対して『シン・ゴジラ』は、現れるのが「ゴジラ」であり、しかも珍妙な幼獣まではじめに登場するものだから、「ゴジラがどう描かれているか」に興味の大きな部分は集中せざるを得ず、俳優たちの人工的な演技も相俟って、決して「今の日本」を感じさせることはないのだ。