●「機嫌のいい女」、そして「天空の逸女」~紫雷イオの魅力を語りましょうほどに。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

スターダムという女子プロレス団体に所属するというか、現在の女子プロ界最高のスターというか、「スター」といっても実に狭い範囲での話になっているのが現在のプロレス界なのだけれど、とりあえずそんな存在が、

「紫雷イオ」なのであるほどに。

実はわたし、スカパー加入歴が長いもので、時々「~千円分のチャンネルを1か月間無料サービス」の案内が来るのであり、この1月がその月なので、これ幸いにとスターダムの興業を放送している『FightingTVサムライ』の視聴を始めたのである。
スターダムと言っても、紫雷イオしか知らない状態なのだが、たまたま1月第1回目のスターダム放送が、紫雷イオのプロレス生活10周年記念興業だった。
そして明確に認識したのだが、いやあ~、紫雷イオのニックネームって、

「天空の逸女」・・・なんですね。

「天空の逸女」・・・プププププ♪

こういう「素敵な馬鹿」的言葉づかいを観るだけで嬉しくなってしまうわたしです(←山田姉妹「みずいろの手紙」風に)。
と思ったら、この紫雷イオ、自伝も既に出版している。
そのタイトルは、

『覚悟~「天空の逸女」紫雷イオ自伝~』

ふうむ。つまり紫雷イオは公式に「天空の逸女」だというわけだ。
と言うか、プロフィールを調べてみると、新日本プロレスの棚橋弘至のニックネーム「100年に一人の逸材」の「逸」をいただいたということである。
しかし「逸材」と「逸女」ではまったく印象が違うし、「逸女」の方がずっとおもしろい。

リングでの紫雷イオのクオリティはと言えば、まずバタバタした試合にならないところがいい。
腕や脚の取り合い、基本的なグランドレスリングのムーヴなどができるし、試合中に効果的に使っている。
昨今の新日本プロレスでもよく見られる、試合開始からリング上をバタバタ走り回るという感じではないのだ。
いわゆる空中殺法もかなりこなすけれど、紫雷イオの持ち技の中で最も観応えがあるのがジャーマンスープレックスで、相手を持ち上げたところで一旦止まり、ゆっくりと後方へ身体を逸らせていく。
そのフォームもなかなか綺麗だし、(ああ、イオのこの技を観られてよかった)と思わせてくれるクオリティだ。
そしてとても重大なことだが、実に感情が観客にとても分かりやすく伝わってくるのだ。
そう言えば紫雷イオ、マイクパフォーマンスの時など、やたらと機嫌よく見える時がある。
機嫌のいい時には機嫌よく見えるというレスラーは案外少ないもので、人にもよるけれど、多くの場合、「機嫌のよさ」というものは、周囲の人間の気持ちを上げるものなのである。