●紫雷イオは素晴らしいが、他のレスラーはちょっと・・・のスターダムと、「プロレス、プロレスラーとは何か」という命題。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

例えば紫雷イオのいるスターダムでも、紫雷イオとあと何人かの主力レスラーの試合以外は、(いったい、何を観ているのだろう)という気分にさせられる内容だ。
まったく、「プロレス、プロレスラーとは何か」という命題についてあらためて頭を悩ませられる光景である。

「プロレス、プロレスラーとは」何なのでしょう?

プロレスの世界でよく若手に対して言われる言葉の一つが、

「お金を取れる体になれ」

であって、つまり

「観客がリング上のレスラーの身体を見るだけで、(お金を払った価値があった)と満足するだけの肉体をつくれ」という意味である。

これはプロレスだけでなく、「プロのスポーツ選手」にとって極めて重要なクオリティであると思うが、特にプロレスは「勝敗を争う競技」でないだけに、「まず見た目」で観客を魅了する、観客を来場させるだけのものを持てるか否かは死活問題となってくるはずだ。
が、スターダムのレスラーたちを観ていると、「一見普通の若い女性がやや奇矯なコスチュームを着用してリングでバタバタ動いているだけ」としか見えない。(紫雷イオなど一部主力レスラーは別である)
スターダムの経営状態がどのようなものかは知らないが、現在の日本女子プロレス界ではトップと言っていい注目度であるとされている。
それにしてもスターダムのレスラーたちには悪いけれど、(よくこの試合をお金を払って観に行くな・・・)という内容が多いし、レスラーたちの体格自体、多くは「普通の女性」とさほど変わらないのである。

もちろん、「女子プロレスだから」というのは当然ある。
かつてかなりの人気を誇っていたJWPを象徴する二人のレスラー キューティー鈴木と尾崎魔弓の二人はかなり小柄だった。
そして女子プロレス団体が巨漢レスラーを揃えたところで、観客が集まるわけではないというのもよく分かる。

しかしそれにしても、かつては「エロの対象」として存在していたという女子プロレスだが、現在はわざわざ女子プロレス会場へ行かなくとも、いくらでもエロ情報は手に入るだろう。
もちろんわたしも紫雷イオ級のレスラーがずらりと揃っているのであれば、(会場へ足を運んでみようかな)と考えるかもしれないが、紫雷イオ級のレスラーは紫雷イオだけである。
現在の女子プロレスファンたちが非常にコアな人たちであるというのもよく分かるけれど、他にいくらでも「娯楽」は存在している日本社会で、なぜ「敢えて女子プロレス」なのかという点はとても興味がある。