●「ラノベ」を愛読する読者層の一端を、わたしはTSUTAYAで目撃したのか?

末尾ルコ「日本の文化状況の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

高知市内のある場所にあるTSUTAYAの書籍コーナーで、と言っても、ごくごく限られた本しか置いてはいないが、わたしはひと時ブラブラしていた。
WOWOWで毎月各国の映画を大量に放送しているし、このとことDVDなどのレンタルはまったくしていないわたしがTSUTAYAへ入店する大きな理由は、「雑誌のチェック」と「トイレの利用」である。
その日、午後の時間だったが、「雑誌のチェック」と「トイレの利用」の両方を済ませて文庫本の棚のあたりでひとしきりうろうろしていたところ、いそいそと眼鏡をかけた男性が、一目散にあるコーナーへと駆け込んできた。
その男性、頭はかなり禿げてはいるが、肌の感じから見て20代だと想像できた。
そして彼が小走りに向かった「あるコーナー」とは、「ラノベ(ライトノベル)」のコーナーである。
(へえ、こんな男性が読んでいるのか)
しかも、「ただ読んでいる」という雰囲気ではなかった。
「ラノベに嵌り、矢も楯もたまらず小走りで一直線」・・・そんな感じだったのだ。

とは言え、わたしはラノベを読んだことはなく、軽々なことは語れない。
ラノベについて知っているのは、「表紙カバーがかなりキャピキャピ(←古語?)なアニメ的少女キャラクターでいっぱい」ということくらいだ。
ただ、そんな表紙カバーの中身が『カラマーゾフの兄弟』のような小説であるはずはないくらいの想像もつく。

そして何週間が経ち、すっかりその男性のことなど忘れてしまっていたある日の午後、わたしがよく行くTSUTAYAにおいては、一般小説とラノベのコーナーはとても近くにあるので、またしてもラノベを熱心に立ち読みしている男性を目撃してしまった。
今度は年のころ40から50の間といったところだろうか。
かなり体格のいい、明らかに力仕事的職業のおじさんである。
(へえ~、こんな人もラノベを・・・)
わたしとしてはかなり意外な光景だったのだ。
そこで「ラノベ読者層」的キーワードで検索してみたのだが、確実な情報は得られなかったけれど、「読者層が成人男性に偏っている」との情報もあった。

きっと「ラノベ」と言っても、様々なジャンル、そして作家によってその小説のレベルもかなり違うのだろうが、ふ~む、こうした成人男性たちは、いかにしてラノベに嵌っていくのだろうか。
しかし考えてみれば、「文字だけの本」を読んでいるというだけでも、「なかなかに上等な趣味」と言えるかもしれない。(読んでいる人にもよるだろうが 笑)。
まあ人様の趣味は千差万別であるし、誰がラノベを読んでも一向にかまわないけれど、「大人が大人のための本を読む」という文化土壌をもっと豊かにしていくべきである点は忘れてはならない。

※「大人の文化」を豊かにしよう!