●映画『お嬢さん』のエロティックなレズシーンに呆れた「ぼかし」が!&『西郷どん』南野陽子の現状と女優歴をプチ考察。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

パク・チャヌス監督の『お嬢さん』は難も多いが魅力も極めて多い頽廃美が描かれていたけれど、内容の話はさて置いて、日本でいまだ続く映画における「ぼかし」の問題である。
『お嬢さん』の大きな見ものは、二人の女性のラブシーンだ。
レズビアンのシーンなのだけれど、これが実にエロティック。
『アデル、ブルーは熱い色』よりもずっとエロティックである。
もちろん『アデル、ブルーは熱い色』は、ラブシーンのエロスを眼目とした作品ではないから、比較してもさほど意味はないが。
『お嬢さん』のラブシーンは直接的に女優たちの肉体を映す以上に、鑑賞者の想像力を刺激する方法を採っている。
特に一方の女性が相手の性器を初めて見つめるシーンを、「性器の側から相手の顔を映す」という演出をしており、ただ裸体をカメラの前に晒すよりもずっと扇情的だ。
ところがせっかくの見事にエロティックなシーンにかなりの「ぼかし」が入ってくる。
わたしが鑑賞したのはWOWOWで放送されたヴァージョンであって、残念ながら映画館でどうだったかは確認していない。
しかし『お嬢さん』の「ぼかし」は二人の女優が絡んでいるシーンを側面からロング気味のカメラで捉えているシーンでも入っているが、その場面の何を「見せてはいけない」というのか?
女性の性器などはまったく映るアングルではなく、ただ二人の臀部のあたりにかなり大きな「ぼかし」が入ってくる。
「ぼかし」の問題は以前からあるが、いまだ日本の映画界は不可解な「ぼかし」方で作品のクオリティを損ねている。

話変わって、NHK大河『西郷どん』で篤姫の指南役 幾島(いくしま)を演じているのが南野陽子なのだが、50歳にしてはけっこう老けてしまっているなという印象だ。
いや、ひょっとして「口やかましい指南役」のために役作りをしているのかもしれないが、顔の輪郭線も若い頃よりかなり広がっているように見える。
80年代後半に、南野陽子、そして中山美穂、工藤静香、南野陽子、浅香唯が「アイドル4天王」と呼ばれていたらしいが、その時期に私は4人の誰にも興味を持っていなかった。
南野陽子の場合、一時ごり押し的に「本格主演女優」路線を事務所が歩ませていたけれど、結果的にはそれは無理筋の路線だったようだ。