●吉沢亮は「イケメン」でなく、「ハンサム」と言った~「イケメン」「ヤバい」がもたらす死語の嵐、日本語危機~『アイスモンスター』の「マンゴーかき氷」1550円って。

末尾ルコ「社会観察の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

ドラマ『サバイバル・ウェディング』を観てみた動機の一つは、出演者の中に「吉沢亮」がいたことなんですね。
行きつけのカフェのスタッフの一人、若い女性なのですが、菅田将暉のファンだと言っていたので、少し前に、
「最近、菅田将暉の映画観た?」
と尋ねたら、
「え?」
 と怪訝そうな顔をするので、(怪訝そうな顔をされても・・・)と思いつつ、
「いや、菅田将暉のファンでしょう」
 とさらに問うたら、
「わたし、最近、吉沢亮ですよ」
 などと言い出したから、(おいおいおい・・・・)と呆れつつ、しかしその時わたしの脳裏に浮かんでいたのは、「吉沢悠」の顔であって、(あれ?吉沢悠って、若い女の子に人気あったっけ??)と見当外れの疑問を抱きつつ、
「その俳優のどこがいいの?」
 と質問を続けていると、
「顔が好きなんですよ。顔が今、一番好きですね」
 などとのたまい始める。
どうやら、「吉沢悠」ではなくて、「吉沢亮」なる別の俳優が頭角を現しているらしきことに気づき始めたわたしです(←山田姉妹「みずいろの手紙」風に)。
そもそも「吉沢悠」であれば、そのキャリアの中で頭角を現した経験はないはずで、とりあえず「吉沢亮」をネットチェックしてみると、確かに「吉沢悠」とはかなり異なる人物であり、まだ24歳、ちなみに吉沢悠は39歳であるけれど、顔立ちもかなり違う。
吉沢亮は確かに若い女性の心を捉えるのもむべなるかなというアマイマスクの俳優で、『仮面ライダー』出身だけれど、『仮面ライダー』映画版を含めると、既に20本以上の映画へ出演しているのは驚きではある。

ところでこの吉沢亮、『毎日新聞』の記事によれば、DVD「HANDSOME FILM FESTIVAL(ハンサム フィルム フェスティバル) 2017 DVD」の発売記念ハイタッチ会にの際、報道陣から「イケメン」と言われ、「ハンサムです」と訂正したと報道されている。
もちろんこれは、DVDのタイトルと絡めてのものだろうが、イケメンとハンサムの違いを聞かれると「イケメンはイケメンで、ハンサムはハンサムです。ハンサムは心です。心がハンサムです」、そして「すみません、適当に言ってしまいました」と言ったと伝えられている。

確かに「適当に」言ったのだろうが、このような「言葉に対する神経」はとても大切だ。
そもそも、「イケメン」という言葉がどれだけ日本人の言語感覚や美意識を破壊させてきたか、もっと理解されねばならない。
ただ、「ハンサム」という言葉は、「イケメン」という言葉が登場する以前で、日本ではあまり使われていなかった。
少々古いイメージの言葉になっていた。
英会話を本格的に始めた時期、ネイティブの女性が男性の顔を褒める時に、普通に「HANDSOME」というので、(あ、英語では今でも言うんだ・・・)と少し以外に感じたものだ。

「イケメン」というあまりに大雑把で、音も乱暴な言葉が行き渡ることで、「ハンサム」はもちろん、「二枚目」、「美形」、「いい男」などなど、男性に対する誉め言葉も多くが死語化している。
そして現在、「万物に対する誉め言葉」として「ヤバい」が浸透し、そのあおりでどれだけの日本語ボキャブラリーが死語化しているか想像したことがあるだろうか。

・・・

お話変わるが、かき氷専門店『アイスモンスター』が人気で行列もできているらしいけれど、「マンゴーかき氷」が1550円って、どうなのだろう。