●今、心に沁みる宇崎竜童の歌唱・・・もちろん山口百恵よりも。

末尾ルコ「音楽の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

『昭和歌謡ベストテン』で宇崎竜童特集があって、宇崎竜童の歌がいいのだな。
という意味は、「宇崎竜童が歌う宇崎竜童の歌」がいいのである。
この「よさ」っていうのは高校時代、ブリティッシュロック中心に聴いていた時期には気づかなかったことだ。
例えば宇崎竜童は竜童組を作って和楽器や和音楽のテイストを全面的に取り入れたロックないしブルーズテイストの楽曲を創作し、演奏していたのだけれど、そしてピーター・バラカンあたりがそのクオリティを絶賛するのを耳にして、(ああ、そんなものなのかな)と感心はしたけれど、積極的に聴こうとは思わなかった。
そうなんですな。
これは以前にも触れたけれど、かつては「日本で売れ線以外の音楽を聴く方法」となると、「ラジオで聴く(エアチェックする)」「自分でレコード(CD、カセット)を買う」の二択が基本であり、しかしラジオで自分が聴きたい音楽がいつも取り上げられるわけではなく、ティーンエイジャー限られた予算の中で「購入」となると、余程選びに選んだものしか買えないわけである。
だからこそ購入したレコードなどは徹底的に聴き込んだわけであるけれど、ブリティッシュ中心で、日本のバンドとしては、ルースターズ、RCサクセション、フュー、甲斐バンド(←やや恥ずかしいが 笑)、そしてなぜかP MODELなんかはちょっとばかし購入したが、宇崎竜童は常に選択肢外だった。

多くのロックファンの記憶にあるように、宇崎竜童は『ファイティング80's』という番組の司会をやっており、やはり同番組のロースターズのライブは凄かったし、佐野元春やタモリが出演することもあった。
うじきつよしの子供バンドがレギュラーだった時もありましたな。
それとザ・モッズが人気の頃もあった。
で、普通は『ファイティング80's』の最後に竜童が一曲歌うのだけれど、(別に歌わなくていいのに・・・)とわたしは思っていたし、周囲のロックファンも「竜童、演歌じゃん!」的なことを言っていたし、わたしもだいたい同じ思いだった。

ところが今、宇崎竜童の歌がいいのである。
たとえば次の歌。

「さよならの向う側」(https://www.youtube.com/watch?v=QEovuXaYEQc

山口百恵が歌ったよりも遥かによく聴こえる、心に沁みる。
実はわたしは山口百恵の演技にも歌にもまったく心を動かされたことはないのだが、今観たら聴いたらどうなのか・・・それはまだ試みていないので、今後の課題としてみたい。

とにかく今の宇崎竜童の歌・・・素晴らしいです。