●もううんざりのスポーツスキャンダル(?)、選手の頭を思いっ切りぶっ叩くような女子体操はそもそも必要か?~2019年公開予定、『男はつらいよ』新作に何を期待すべきか?

末尾ルコ「スポーツと映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

しかしスゴイですなあ。
(一体どこにこれだけ女子体操に関心を持つ人間がいたんだ!)と驚くほど、テレビやネットでは「女子体操界評論家」が続出ですな。
塚原だの宮川だの速水だの、「あんたら、この人たちのこと、いつから知ってたんだ!」とツッコミを入れたくなるくらいネットの書き込みでも延々と駄文を綴っている人間のいかに多いことか。
本当は皆、体操界のことなんてどうでもいいくせに。
どのみち(日本)スポーツ界の深部に大きく腐っている部分があって、日大アメフト部だのボクシング山根だの、そして今回の女子体操の件だのはそうした深部の一端が表面に現れただけのことである。
だから塚原夫妻が悪いだの、速水元コーチが悪いだのというのはすべて「一部」でありさほど興味はないが、いささか驚くのは、速水元コーチなる人物が10代の女子体操選手をかなりの勢いで「ぶっ叩いている」映像を見ても、「オリンピックへ行くためにはこのくらいのことをして当然だ」と主張する人たちが少なからずいることである。
いわく、「体操は一歩間違えれば死に繋がりかねない危険な競技だから、暴力の一つも振るって厳しく指導するのが当然だ」という意見だ。
まあわたしの考えでは、「選手の頭を思いっきりぶっ叩かなければ強くならない公的な競技など必要ない」だが。
そんなに暴力がお好きなら、「地下スポーツ」「地下体操選手権」「地下オリンピック」を催して思う存分やればいい。
もちろん「自己責任」(笑)で。
そう、『タイガーマスク』の「虎の穴」のように。
自分らがそのような「社会の表舞台に出られない人間であることを自覚した上で、そしていつでもお縄になる覚悟で「犯罪行為」としてやるのであれば、「ご勝手に」というところだろう。
もちろん「自己責任」(笑)で。
社会のいかなる場所であれ、速水元コーチが選手を殴るような行為をしていれば、「犯罪」である。
「オリンピックでメダルを目指しているのだから暴力OK」だのいう理屈は通らない。
「他に強くなる方法があれば教えてほしい」なんて書き込みもあったが、「こんなやり方しかできないのであれば、そんな競技は公的には廃止」だとお答えしよう。

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松竹が『男はつらいよ』の新作制作を発表している。
監督は山田洋次で、「寅さん=渥美清」は過去のシーンを組み合わせて登場させ、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らで新しいシーンを撮影するということだ。

『男はつらいよ』新作制作の理由は、松竹の事情など様々あるだろうが、山田洋次が監督をしている限り、おかしなものはできないだろう。
公開は2019年だというが、何よりも平成さえ超えた時代に、「寅さん」をスクリーンで観られる意義は大きいと思う。