●「アム活」って、何ですかあ!~宮根誠司がタッキー&翼を力説するって何ですかあ!~
『トラック野郎 男一匹桃次郎』における子役の「台詞棒読み」と、「歴史的女優」間近の夏目雅子。

末尾ルコ「映画と社会観察で、知性と感性を鍛えるレッスン」

安室奈美恵の引退に向けていろいろやることを「アム活」と言うとかテレビで言っていたが・・・この言葉の使い方、どうにかせいや!!!
タッキー&翼の「素晴らしさ」について、鼻から噴射せんばかりに熱く力説している宮根誠司を見て、(この男はいったい何を言っているんだ・・・)と呆れ返ったのはわたしだけではあるまい・・・ことを望む。
人間、もっと真っ当な生き方をせねばなるまい。

『スターバックス イオン高知店』の隣に『ドラキッズ』がある。
『ドラキッズ』とは小学館の幼児教室である。
『ドラえもん』を各教室のキャラクターとして使用している。
その前でよく、生徒の子どもらとその保護者がたむろしているわけである。
その日わたしが前を通った時、じゃり、いやお子様の一人が両手を上げ、「たこ焼き食べたい、たこ焼き食べたい!」と連呼していた。
わたしは微笑ましく感じ、(うんうん、ジャリ、いやお子様はこれでいい)と独り言ちたものだった。

『トラック野郎 男一匹桃次郎』にも子役が出ている。
「ヤモメのジョナサン(愛川欽也)」の子どもたちはもちろんだが、『男一匹桃次郎』には「子連れ狼」的キャラクターの若山富三郎が出演していて、となれば、「大五郎」的スタンスの子役も出ているわけである。
そしてこの子役、もちろん「台詞棒読み」である。
わたしは映画のこうした子役の「台詞棒読み」がかなり好きなのだ。
泣くときはあからさまに、「え~ん、え~ん」と泣く。
芦田愛菜以降、特に日本のドラマで氾濫した、あざとい子役演技など微塵もない。
邦画の子役の「台詞棒読み」は『トラック野郎』のようなエンターテインメント作品だけでなく、小津安二郎や成瀬巳喜男ら大巨匠の映画の中でもしばしば観られる。
もちろんあまりに不自然な棒読みは作品クオリティに関わるものであり、議論はあるだろう。
しかし少なくとも個人的には、(さあ、今から熱演するので、涙を流してくださいね)という雰囲気むんむんの子役たちは観たくないのである。

しかし『男一匹桃次郎』鑑賞の一番の愉しみは夏目雅子の存在だった。

『トラック野郎 男一匹桃次郎』が1977年、『西遊記』が1978年よりのドラマであり、映画『鬼龍院花子の生涯』が1982年の公開である。
要するに、女優として開花する直前の夏目雅子の姿をじっくり鑑賞できるのだ。

というわけで、じっくり鑑賞しました、夏目雅子。
ややゆったりとしたワンピースを着用しているシーンが多いのだが、それでもその見事なプロポーションは立ち姿の全身ショットでとてもよく映える。
特に映画館で観る際に、俳優たちの「立ち姿」はとても大切で、時にそれ自身がスペクタクルとなるものだ。
「夏目雅子」の立ち姿・・・これを観るだけでも、『男一匹桃次郎』鑑賞の価値は十分ある。
ただ、演技はまだシンプルである。
美しい顔だが感情の奥行きが感じられず、表情も乏しい。
しかしここから数年後、夏目雅子は表現力においても鑑賞者を魅了するようになるのだ。