●低視聴率が伝えられる有働由美子アナの『news zero』だけれど、そもそも大枚はたいて「元NHK」を民放が使うのは?そして「朝ドラ受け」などについて語る。

末尾ルコ「マスメディア批判で知性と感性を鍛えるレッスン」

有働由美子アナがメインキャスターとなった『news zero』の視聴率が2週目からウナギ下がりらしいのだが、そもそもNHKからフリーになり、民放が大枚はたいて起用して、成功した例はほとんどないだろう。
池上彰が異例の売れっ子になってしまっているが、これもかなり不思議な現象であって、森本毅郎にしても木村太郎にしても堀尾正明とか、他にも男女問わずいろいろいたけれど、多くが民放の思惑外れとなっているのではないか。
それはさておき、「朝ドラ受け」あるいは「ドラマ受け」という言葉があって、特に知られているのがNHK朝ドラマのすぐ後に放送されるNHK『あさイチ』の冒頭で出演者がひとときドラマについて語り合うというのが「朝ドラ受け」である。
このやり方については好き嫌いあるようで、わたしは後者なのだけれど、つまりどうも何とも嫌な空気を提供されている感じがするのですね、「朝ドラ受け」が好きな方には申し訳ないですが。
まず、「その番組を観よう」としたらいきなり冒頭から司会者が「その前番組のドラマの話」を思い入れたっぷりにし始めた・・・となると、そのドラマを観てない人、あるいはそのドラマが嫌いな人は、(どうして、こんな話聞かなきゃならないのか・・・)と感じるのが普通だろう。
さらにあの「観た人間だけが共有する時間・空間」を強制されている気分にもなるし、そもそも「朝ドラ受け」は「宣伝活動」の一環であるから批判は許されず、当然ながら微温的トークと微温的笑顔の時間・空間となる寸法だ。
何でも有働アナは『news zero』でも「ドラマ受け」をやったということで、それはもちろん日本テレビのドラマなのだけれど、そのシーンは目撃してないが、(ちょっと、たいがいにせえや!)という気分にはなる。

ついでに触れておくと、NHK『あさイチ』ではよく朝ドラマ出演中の俳優がゲストで来るのである。
友人のフランス人フェノン(仮名)が以前言っていたが、「さっきドラマで死んだ俳優がすぐに出てきて、ニコニコしながら話してるんだ」と、このようなこともあったようだし、ひょっとしたらちょいちょいあるのかもしれない。
「作品中でさっき死んだ俳優」が直後のトーク番組へ出演・・・もちろんこうした事態に対して持つ感情には個人差があるだろう。
しかしわたしの感覚からすれば、これはペケである。
朝ドラマの現場はどうか知らないが、俳優というもの、時に命を削り、精神に変調を来たしながら深い表現を追究することもある存在なのだ。
中にはこうしたケースでトーク番組へ出演するのを喜ぶ俳優もいるだろうが、わたしには俳優、そして作品に対するリスペクトに欠けた所業に感じる。