●ハーリー・レイス、乱入のリック・フレアーに対して驚くべきムーヴ!~その「男心を痺れさせる」魅力とは?

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

何の気なしにYouTubeが勧めてくれるままに観てしまった次の動画はなかなかのお宝だった。
5分足らずの映像。
リングでベルトを誇示しながらマイクアピールするハーリー・レイス。
そこへリック・フレアーが乱入してくる。
ひとしきり口論があった後、フレアーがレイスを襲い、しばらく乱打を繰り返す。
しかしやられっぱなしのレイスではない。
すぐさま反撃に転じ、ダイビング・ヘッドバット、レイス流ニードロップ、そして得意のパンチ乱打でフレアーをグロッキーに・・・という流れでの5分弱なのだが、これだけでもうお腹いっぱい大満足だ。
さすがは、ハーリー・レイス、リック・フレアーという70年代から80年代にかけてのプロレス界千両役者の二人のパフォーマンスである。

RIC FLAIR ATTACKS HARLEY RACE-1983
https://www.youtube.com/watch?v=n6YKpMCtSjs

とりわけプロレスファンになった当初からハーリー・レイスファンだったわたしには満足の時間。
1983年の動画とされているから、レイスとしては全盛期を過ぎているはずだが、その動きの速さ、柔らかさ、スムースさは、あらためて「プロレスという分野における天才」だと認識できた。
これを観た後、いくつかレイスの他の動画をチェックしてみたが、興味深いのはコメント欄。
70年代~80年代にプロレスファンだった米国人を中心としてコメントに違いないが、「レイスこそ、男の中の男だ」「史上最もタフなレスラーだ」「これこそプロレスの黄金時代だ」「ヴィンス・マクマホンのおかげでプロレスはサーカスゲームになってしまった」などなど、ほとんどが「ハーリー・レイス絶賛」であり、プロレスラーとしてだけでなく、「最高の男だ」的な書き込みばかりだ。

実は80年代にはわたしの興味は新日本プロレス中心となっており、既にさほどレイスに執着はなかった。
そして日本のプロレスメディアやファンの間でも、NWA世界チャンピオンであり、「ミスター・プロレス」などと呼ばれながら、さほど有難がられてはいなかったと思う。
その理由は、日本ではレイス個人に大きな集客力がなかったとか、そもそもそれはレイスの試合スタイルによるものだから仕方ない面もあるのだろうけれど・・・といったものだろうけれど。
しかし、当時の米国におけるプロレスファンの割合やファン層は、当時の日本とはまったく異なるものであったとは言え、これほどまでにレイスがファンからいまだ敬意を持たれていることに悦びを禁じ得ない。

そうなんです、ハーリー・レイスには、「男心を痺れさせる」佇まいがあったのです。
それはプロレスラーとしての天才性もあるだろうし、さらにレイスの生き方そのものから立ち上ってくる「人間として、男としての香気」を多くのプロレスファンが感じ取っていたのだろうと思う。

ところで昨今、

「男らしい・女らしい」
「男として・女として」
「男の薫り・女の薫り」

などといった言い方をすると、「差別だ!」と言われかねない風潮であるし、わたしも原則「いわゆる男らしさ・女らしさの押し付け」は否定するのだが、しかしそうした要素を「すべて排除」しようという考えにも賛成できない。
ただ、この件を簡単に説明することはできないので、今後適宜お話していくということにしよう。