●『猪木流過激なプロレス」の生命力』とエアプレン・スピン、そして現在のプロレス・格闘技状況と、ブル中野のギロチンドロップ。

末尾ルコ「プロレスと格闘技の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」


次のような本が出ているのですな。
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アントニオ猪木氏と村松友視さんの共著『猪木流過激なプロレス」の生命力』が発売2週間で重版決定「猪木流プロレスの魅力を語った過激なクロストーク」https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181118-00000069-sph-fight

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ま、わたしまだ読んでませんが、やはりちょっとおもしろそうですね。
表紙がアントニオ猪木VSウィリエム・ルスカ。
猪木がルスカを担ぎ上げ、プロレス技名で言えば、エアプレン・スピンの体勢です。
この写真、美しいのです。
猪木、だけでなく、当時活躍していた一線級のレスラーたちの(ここぞ!)というシーンには「美」があった。
シンプルな出で立ちで、シンプルな髪形で、シンプルな技を中心として試合を組み立てるプロレスラーたちの「美」が。
子どもの頃のわたしは「美」という言葉を使うことなしに、プロレスラーたちから「美」を。
しかし例えば村松友視には、「今のプロレス」についてどんな印象を受けているか聞いてみたい気がする。
あまりに猪木VSルスカの時代からは変質してしまった今のプロレスを村松友視はまったく観ていないかもしれないが。

あるいは、メイウェザーが「3分3Rのエキシビション」だと米国メディアに言っているのに、日本国内ではいまだ「KOありの真剣勝負」と言い張るRIZIN榊原氏について、そしてその尻馬に乗って、「メイウェザーを本気にさせる、KOを狙う」と言う那須川天心について、どんな感想を持っているのか。
これはつまり、日本国内でももう「エキシビションとは何か」と理解している人は多くいるが、「分からない・わかってない人たち」をできるだけ騙し続けようという見苦しさとしか見えない。

プロレスに関しては、次のような記事もあった。

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ブル中野が明かす「11・14金網デスマッチ」の真実 現在は東京・中野区の観光大使
https://www.daily.co.jp/society/life/2018/11/14/0011816568.shtml
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ブル中野と言えば、アジャ・コングとの金網出すマッチ。
金網最上段からのギロチンドロップである。
記事の中で「背骨が突き出て死ぬと思った」と語るブル中野を(そんな、大袈裟な)と笑う人は「ギロチンドロップ」という技を金網最上段から決行する意味が理解できていない。
腰からそのまま落下するギロチンドロップは、技をかけるレスラーにとって受け身の余地がなく、非常にリスクが高い。
それを金網最上段からブル中野は飛翔したのである。

同記事で、

「この世のものじゃない何か」になろうとした。

と、ブル中野は語る。
なるほどそうか。
今は「この世のものじゃない何か」が欠けているのか。
プロレス界だけでなく。