●「気学」に嵌ったW君の話~1984年についての「友だちもどき」の話~さらにロス五輪 山下泰裕VSラシュワンの話。

末尾ルコ「昭和史と人間観察の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

「気学」に嵌り、「魂が見えるんです」と言い出して、それに基づく「人生相談」を仕事にすると言い出したW君がわたしの行きつけのカフェへ来ていて、まあそこは彼にとっても行きつけの一つだから来ても不思議はないけれど、店内ど真ん中のテーブルで、うさん臭い雰囲気の中年女性とともに振り子を振っていたが、そういうことは自分らの家ででもやっていただきたいですな。
カフェにとってもど真ん中のテーブルで辛気臭い顔して振り子振られたら、内心迷惑に違いない。
W君、君の隣に座っている女は、君の人生を狂わせているよ。

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長与千種が男に暴行を受けていた女性を救出したというお話についてはこの前書いたが、それでふと、(クラッシュギャルズはいつ頃だったかな)とチェックしてみた。
クラッシュギャルズは1984年に結成されておりますな。
ライオネス飛鳥と長与千種のコンビです。
その頃のヒールがダンプ松本。
1984年と言えばジョージ・オーウェルが描いた『1984年』がついに来たと大騒ぎする人は、まあ特にはいなかったけれど、今でも記憶に新しいのが中学時代からの「友だちもどき」の男の表情だ。
その当時いきなり吉本隆明にかぶれたその男、「まあ『共同幻想論』に比べたら、オーウェルもまだまだ甘いにゃあ(←土佐弁)」と意味不明発言をしていた。
いや、そいつがそんな馬鹿なことを言うお粗末な精神過程は手に取るように分かりはするのだけれど。
そいつときたら、わたしが谷崎潤一郎の『痴人の愛』が大好きと言うと、ヘラヘラ笑いながら、「そんながはもう超越した」とか言っていたが、なにせ20代前半で断交してからは一切不連絡なので、今現在どんなヤツになっているかは分からない。
(できるだけ不幸になっていればいい)なんて、思ってませんよ、決して、ええ、決して(ふふふ)。
こうして書いているとまたいろいろ思い出してくるもので、そいつときたら、他にも数多くのムカつく発言をしているのだが、今回は書かないでおいてやろう。

そんな1984年であるが、ロス五輪が開催された年でもある。
ロス五輪でわたしが最も印象に残っているのが、女子体操、米国のメアリー・ルー・レットンとルーマニアのエカテリーナ・サボーの一騎打ちだったことは既に何度か書いているが、日本国内では柔道の山下泰裕が左足に怪我を持ちながら、エジプトのラシュワンを下し、金メダルを獲得したニュースが当然ながら大きく取り上げられた。
この試合、ラシュワンが山下の負傷した左足を攻撃しなかったと国内では美談のように伝えられたが、誰だったか忘れたけれど、漫画家が何かのプロレスファンが、「だからアマ競技はつまらないんだ」と、ここぞとばかりにディスっていた。
山下は後日、「ラシュワンが敢えて右足を狙わなかったなんてことはない」と言っていたように思うけれど、まあ勝負だから狙うのが正解でしょうな。