●秋吉久美子にあって新垣結衣にないクオリティとは?~『誘惑者』出演の原田貴和子は今も活躍中。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

秋吉久美子にあって、今の女優たちにないもの。
ここで言う「今の女優たち」というのは、世間的知名度と映像系女優としてある程度以上の実績を積んだ人たちを指しているけれど、例えば現在であれば、
綾瀬はるか
石原さとみ
新垣結衣
吉高由里子
長澤まさみ
有村架純
広瀬すず
 などが挙げられるだろう。

この人たちに無くて、秋吉久美子にあったものは何か?

例えば、

スケール感
ゴージャス感
肉感
そして、
反逆性

「反逆性」とは微妙な表現だけれど、別に具体的な対象への具体的な反逆思想や反逆言動を指しているのではない。
と言うか、これはわたしの感覚なので、多くの方に共感していただけるかどうかは分からないが、秋吉久美子に感じていたのは、

「大きな流れや既成事実に対する反発」

であって、当時は秋吉久美子だけでなく、他にもメジャーな俳優の中にそうした「反発」の雰囲気を漂わせていた人が少なからず存在した。
それは決して、「戦後ある時代まで日本では左翼的考えが優勢だった」という局地的歴史と同調していたのではなく、もっと府県的な「反発」の感覚だった。
この意味については今後も考えていくけれど、前記した4つのクオリティの中で最も分かりやすい「肉感性」について見ても、


綾瀬はるか、石原さとみ、新垣結衣、吉高由里子、長澤まさみ、有村架純、広瀬すず・・・。

肉感的じゃないですよね。
別に肉感的な女優を上位に置いているわけじゃないですよ。
ただかつては秋吉久美子だけでなく、松坂慶子、夏目雅子、原田美枝子、桃井かおりら、美貌や演技も強烈なうえに、誰しも肉感性を身に纏っていたのも事実。

さて、秋吉久美子主演『誘惑者』だけれど、助演女優格で原田貴和子が出演していて、もちろん原田知世の姉なのだけれど、(最近どうしているのかな)とチェックしてみたら、あの赤木春恵が史上最高齢で映画初主演を果たし、作品的にも映画賞を総なめにした『ペコロスの母に会いに行く』へ出演しており、しかも第28回高崎映画祭 最優秀助演女優賞を獲得している。
『ペコロスの母に会いに行く』は赤木春恵と岩松了のインパクトがとても強く、原田貴和子がいい演技していたことをすっかり忘れていて、すみません。
原田貴和子は2016年公開の『はなちゃんのみそ汁』にも出演していて、このようにベテラン俳優が活躍するのはいいですな。