●年末に怒りこみ上げる、ネットの詐欺的「警告」画面「Windowsセキュリティシステムが破損しています」~若者のセックスレスが本当か否かはともかく、70年代は子どもでも『エマニエル夫人』を知っていた。

末尾ルコ「詐欺撲滅とエロティシズムの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」


12月25日くらいから、1日に何度かネットで「詐欺画面」的なものが出て、鬱陶しいことこの上ない。
最近よく出るのが次の画面。

「Windowsセキュリティシステムが破損しています」

そして正確な文面は忘れたが、意味として、「あなたがアクセスしようとしているサイトは危険です」云々の文言が出てくるやつ。

いやいやいや、いつも訪問しているサイトですし(笑)。
まるっきり安全ですし。
忙しく作業している時にこんな詐欺的画面が出ると怒り爆発寸前になる。

『飢餓海峡』での左幸子の官能的なシーンのお話を前回したが、「官能」あるいは「エロス」という要素は映画だけでなく、すべての芸術に欠けていてはならないものであって、そこが抜けていたり希薄であったりすると、作品としてはスカスカの印象になってしまう。

間違ってはいけないのが、ベッドシーンや俳優たちの裸体が炸裂しておれば「エロス」というお話ではなくて、例えば映画『羊たちの沈黙』がかくも傑作だったのは、シーンで言えば、クラリス(ジョディ・フォスター)とレクター博士(アンソニー・ホプキンス)の鉄格子越しのやり取り、それらの積み重ねと頂点となる二人の指が一瞬触れ合う場面・・・これらによりラブシーンなど存在しなくても濃厚なエロスとそして表裏である「タナトス」が充満した作品となっているのである。

「若者のセックスレス化」についていろいろと語られているが、こうしたアンケートなどの信憑性にはある程度疑問を持つべきだと思うが、いずれにしても、「セックスへの欲求、セックスへの向かい方」など、「社会環境+家庭環境」の影響を大きく受けるものであるのは間違いない。
そしてこれこそ「100人おれば、100通りのセックス感・欲求」があるわけで、容易に一般化できないのは当然のことである。
ただ、それぞれの地域、それぞれの時代の社会環境は、その場所、その時代に生きている人々に対してかなり同質の影響を与えているのは間違いなく、その影響を受けた人間の反応は千差万別ではあるけれど。

そして現在はネットであらゆる性情報が、もちろん少なからぬサイトが危険なものではあるけれど、容易に手に入る。
どのようなものでも、「容易に手に入らない状態」だからこそ渇望も募るものであり、「若者のセックスレス化」という論調に多少なりとも事実が含まれているとすれば、ネットの性情報過多状態も無視するわけにはいかない。

例えば70年代日本では、1974年公開のシルヴィア・クリステル主演映画『エマニエル夫人』がとてつもないブームとなった。
『エマニエル夫人』はいわば、ポルノ映画である。
しかもフランス映画だ。
フランスのポルノ映画について、日本の老若男女ほとんどがそのタイトルと、シルヴィア・クリステルが裸体の胸を晒し、籐椅子に座っているポスターを知っていた。
「今」とあまりに違う日本社会がそこにはあった。