●ライブビューイングで鑑賞したももクロ「バレイべ(『ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2019』)」の何が凄かったか~「ももクロに救われた」吉永小百合の甥、「芸術によって救われる」とは何か?

末尾ルコ「ももクロと芸術鑑賞の話題で、知性と感性を磨くレッスン」


『ももいろクローバーZ ももクロくらぶxoxo バレンタイン DE NIGHT だぁ~Z!2019』についてもう少し加えておくと(と言いますか、一度や二度では到底語り尽せないので、今後も大きなテーマとして取り上げていきますが)、生ライブが圧倒的に凄いということは未経験のわたしにも容易に想像がつくけれど、映画館でのライブビューイングにはそれでしか味わえない特別な凄さがあるという点だ。
もちろんライブ会場には巨大なスクリーンが備えられており、観客はステージ上のパフォーマーとスクリーンに映し出される巨大な姿、そして会場でしか味わえない多種多様なアトラクションや雰囲気を愉しめるのだが、映画館でのライブビューイングは、「スクリーンに集中」である。
これがとても心地よいんだな。
今回のライブビューイングではまず開演前の横浜アリーナの観客席の俯瞰ショットがスクリーンに映し出されるのだが、(ああ、こんな風になっているのか)という、この時点でかなりのスペクタクルなのである。
ちなみにわたし、東京や関東にはバレエ鑑賞でよく足を運ぶのだが、大きな箱でもせいぜい東京文化会館の大ホールが2303席。
横アリは12000入るから、単純に「1万に」違うわけだ。
国立競技場や日産スタジアムなどでの超大規模ライブを成功させているももクロにとっては、横アリは「普通」のホールなのだろうが、わたしこんなでかいホール、行ったことありません。
もちろん映像として、音楽ライブやプロレス会場として使われているのはしょっちゅう観ているが、スクリーンででかでか映し出されると本当に壮観なのである。
そしてまあ数々のダイナミックなカメラで映し出されるライブの迫力、疾走感とスケール感たるや、これまた映画館でのライブビューイングならではと言えるだろう。
特にももクロのメンバーが「GODSPEED」を歌いながら客席の通路に入り、ファンにより近くなりながら進んでいく、メンバー一人一人の動きに合わせ、数人の警備(らしき人たち)が中腰で緊張感を漲らして移動していく。
このシーンはテレビ画面で観ると何ということないのだが、映画館で観るとド迫力。
あらためて、「映画館」、そして「スクリーン」の素晴らしさ、優位性を心底感じたわけなのである。

【ももクロMV】ももいろクローバーZ『GODSPEED』Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=yle6mFfUpow


それと、吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシとももクロメンバーの短いトークショーも行われたのだが、吉永小百合いわく、

「甥が人生の中で落ち込んでいる時期にももクロに救われた。その甥っ子も、境界上に来ているはずです」と。
会場の感動がピークになった瞬間だが、

「芸術、あるいはエンターテインメントによって救われた」

という経験は、一人の人間と文化芸術を生涯分かち難くする経験であり、わたしもかつてフランスの詩や小説に救われた経験があるからこそ、生涯ずっとフランス文化との縁を続けていくつもりだし、映画や音楽、バレエなども含め、今も救われ続けているわけであるから、これらの鑑賞を止められるはずもないのである。

ただ、「何に誰が救われるか」という現象については、いろいろと考えるべき問題があるので、今後も考えていこう。