●末尾ルコ夕食献立にブリ大根か?~「号泣シーン」に概ね耐えられないわたしが観た、長澤まさみ『嘘を愛する女』

末尾ルコ「食と映画の話題で、知性と感性を磨くレッスン」

2月18日、わたしは夕食に何らかの鍋物を作ろうとスーパーA MAXへと赴き、まずはリーズナブルな菊菜を買い物かごへ。
定番の豆腐は二丁入れるとして、練り物も重なると飽きるけれど、今回はてんぷら(さつま揚げ)にした。
ゴージャス感(笑)出すために卵は当然買うとして、大根が安く太くなっているので半分にカットしたものをかごへ。
その日はできれば肉よりも魚がいいなと思いつつ鮮魚売り場へ行くと、500円強でブリのアラをパックにしてある。
「500円強」という高価なブツを前に少し躊躇したが、かごの中の大根がおいでおいでをしているのは間違いなく、(ブリ大根じゃんか!)ということで、ブリの目玉もついたアラパックのずっしりした重みを噛み締める。
左側を見ると、「寄せ鍋スープ」がおいでおいでをしているではないか。
よし、この既成の「寄せ鍋スープ」の味をアレンジしようと。
そんな夕食の献立だった。

・・・

で、長澤まさみ。

是枝裕和や黒沢清の作品にも出演しているのでその点は文句のつけようはないが、そうした超一級の監督作以外だと、これは長澤まさみのせいではまったくないが、信じがたいようなヌルい映画で見かけてしまうことになる。
実にもったいない。

例えば、『嘘を愛する女』。

長澤まさみ演じる女と5年間ともに過ごしている男が突然倒れる。
クモ膜下出血だという。
男は意識不明となるが、その際に確認された免許証などはすべて偽造されたものであり、女に語られていた名前も職業などもすべて偽りだという。
混乱する女だが、男の「本当の姿」を探し求める決意を固める。
そして捜査を依頼した探偵とともに瀬戸内海へ。

この辺りまではなかなかおもしろく観ることができたのである。
瀬戸内海のロケも観応えたっぷりで、出演者の中の吉田鋼太郎とDAIGOはそれぞれ違った意味で苦手なのだが、この作品では上手く使われていた。
(いや、なかなかいいじゃん。拾い物かな)と感心しながら観ていたところ、ラスト20分辺りから(わたしにとっては)驚天動地のヌルい展開に!
いや~、吃驚したなあ、もう。

その展開を事細かく書くことはしないが、一つどうしても主張したいのは、

「(多く)主人公が号泣したり、泣き喚いたりするシーンを入れる風潮、いい加減にしてくれないか!」

ということである。

主人公の号泣シーンがあっても、よくできている作品もあるのだろうけれど、正直なところ、わたしはまったく念頭に上って来ない。
そしてわたしの場合、そのようなシーンが始まると、本当に「いたたまれない」気分になるのである。
その「いたたまれなさ」についても、また後日語らせていただこう。