●わが母、心臓バイパス手術後闘病記26、27日目~鼻チューブ、再び外れる、そして差し入れの許可。~「食べ物」が本当に「エネルギー」として機能する経験。

末尾ルコ「母の話、健康医療の話題」

4月13日(土)手術後26日目

午後7時の面会

「大部屋に移ってから眠り過ぎ」と病院スタッフからも訝られていた母だったが、この晩は目がパッチリだった。
睡眠剤を減らしたらしいけれど、その影響かどうかは分からない。
鼻チューブは装着しているが、この日はここまでにめまいはなし。
母は「夕食、よく食べた」と言うが、本人の言では実際どれくらい食べたか明確ではないと思っていたところ、廊下で昼にも話をした看護士と会った。
彼女によると、「お母さん、昼夜逆転ですね。さっき、大きな声で〈こんばんわ〉と言われて驚きました。そう言えば、夕食もぜんぶ食べてましたよ」と。
(夕食をぜんぶ?)とわたしも驚いたが、今後も続くかどうかは分からないけれど、これはもちろんいいことであり、「病院食でも、母は完食できる」を実証したことになる。

4月14日(日)手術後27日目

午後12時の面会

この時間はかなり大きな出来事があった。
母は前日通り、窓の外を眺めながら昼食を前にしている。
近づくと鼻チューブがない。
まあこれはまた付けられるかもしれないのだが、いつも通りゆっくりと、献立の中では茶碗蒸しだけは完食しつつなどしていたところ、担当の看護士がやってきて、

「もういろいろ差し入れしていただいても構わないとお医者さんが言ってましたので」と、いきなりのお達し。
(ええっ?!)と思ったが、気を取り直して、
「じゃあ、プリンとか、そういうものもいいんですか?」
「いいです、いいです。ジュースとか、アイスクリームもいいですよ。唐揚げとか持ってこられたら困るけど、ちらし寿司とかもいいです。それと、車椅子で院内とかをご一緒にお散歩していただいても構いません」

一喜一憂しないことにはしているが、この時点で驚き、嬉しくないはずはない。
気持ちはより引き締めねばならないが。

・・・

そう言えば現在はわたしも毎日そこそこ食事が摂れていて、日によってはカロリー過多となるくらいの内容になっている。
カロリー過多の原因は主にジャンク的フードをつい多めに買って食べてしまうからだが、これがちょっと前まであまり食べる習慣がなかったので美味しいのですわ。
A MAXという行きつけのスーパーのベーカリーで売っている100円のかなり適当なハンバーガーサンドやコッペパンサンドがけっこう美味しいのである。
家で少し温めるとパンの部分が柔らかくなって、美味しさひときわアップだ。
というわけで、弁当+ハンバーガーサンドないしコッペパンサンドなんていう不健康メニューになってしまう場合もあったのだが、これはさすがにそろそろ控えようかな、と。

そこで思い出すのが、今回の母の入院、その初期はわたしもまったく食欲がなく、時間もなかった。
ある日の夕方、完全にもうヘロヘロ、つまりガス欠状態になってしまった時間があった。
(これはいかん)とコンビニへ入り、ウインナーパンを購入して食べる。
すると、である。
ガス欠でヘロヘロになっていた身体の奥底からアッと言う間に、フルチャージではないにしても、力が湧いてきたのである。
「空腹で力が出なくなり、食べると即座に力が湧いてくる」という経験は、毎日決まった時間に食事していたらなかなか味わえない感覚で、(けっこういいな)と思ったわけである。