●我が母、心臓バイパス手術後闘病記59日目~A病院の請求書内訳と額の傷の「ホッチキス」外し。~わたしはいかにして、チェン・カイコー『空海 美しき王妃の謎』よりも佐藤純彌『空海』を愉しんだか?

5月17日(金)手術後59日目
転院24日目

前日にA病院から初めての請求書が来ていた。
この時期に来る請求はつまり転院日の4月24日から4月31日までの期間分である。
ぶっちゃけ請求額は「43,082円」。
その内訳は、保険対象負担が「38,590(自己負担額29,390円+食事療養負担額9,200円)+保険外負担「4,492円」だった。
さらに詳細な内訳については機会を改めてお話しできると思うが、この額であればどうにか今月は極端な火の車を避けられそうとだけ記しておこう。

この日もお通じの回数は落ち着いているようだ。
高知赤十字病院では下剤を使用してもなかなか便意に繋がらなかった時期もあったので、このところの活発な腸の働きはやはりリハビリによる身体の活性化や食が進んでいることが影響しているのだろう。

転倒による額の裂傷の「抜糸」を前の日に行った。
「抜糸」と言うか、この件に関する記事でも「数針縫った」と書いたけれど、より詳しくは、「ホッチキスのような医療器具で留めていた」というものだった。
その「ホッチキスのようなもの」を外す作業だったけれど、かなり痛かったようで、「大声で、痛い痛い言うて泣いたでえ」と母は語った。
そうしたことを我慢しないのも母らしいところではある。

・・・

チェン・カイコー監督の『空海 美しき王妃の謎』がわたしにはまったく合わすガッカリというお話はしたが、WOWOWは同作品放送の「おまけ」というわけではなかろうが、同時期に佐藤純彌監督の『空海』も放送した。
わたしはこの1984年公開の佐藤版『空海』は未鑑賞で、しかし当然チェン・カイコー『空海』が遥かに素晴らしい作品だろうと予想していたから、「いやあ~、北大路欣也の『空海』、笑っちゃったよお!」と語るくらいのつもりで両作品を鑑賞したのだが、結果的にはわたしにとって佐藤版『空海』完勝だった。
いや、佐藤版『空海』の作品的クオリティは決して高いとは思わない。
しかし、おもしろいのである。
たいへん分かりやすく撮られていて、しかも随所でツッコミを入れたくなるズッコケ感も満載。
こういうのも映画のおもしろさの大きな部分だ。

佐藤版『空海』は「全真言宗青年連盟映画製作本部」が東映と提携して製作したというだけに、極端なまでの空海理想化が実現しており、とりわけ最澄をずっと格下の宗教家のように描いているところも微笑ましいと言えば微笑ましい。


空海は北大路欣也が、最澄は加藤剛が演じているが、ストーリー上「空海よりずっと下だけれど、まあなかなかの宗教家だったよね」的な扱いのところをどうにか品格を保って造形している。
橘逸勢を石橋蓮司が演じているけれど、そのキャラクターが『トラック野郎』シリーズの愛川欽也のようで、常に泰然自若としている空海とおっちょこちょいの橘逸勢が同じシーンにいる時はまるでバディムービーのようである。
あとはまあ薬子を演じた小川真由美、いいですなあ。
本人はもっと過激に演じたかったというが、各方面(?)からストップがかかったとも。

さらに言えば、平安時代の話なのに登場人物の台詞が現代言葉とほとんど変わらず、分かりやすいったらない。
そうですね、「厳密なクオリティ」を求めない作品としては、このようなものも有りでしょう・・・というところか。