●我が母、心臓バイパス手術後闘病記~A病院に見るベテラン看護師と若手看護師の(当然ながらの)違い。~6月の高い空を群舞する蜻蛉。




大転子部不全骨折直後は気が立っていた母もじょじょに新しい病棟のスタッフ人たちとも打ち解け始め、現在は大方のスタッフと仲がよくなっている。
ただたまに強張った表情となることがあるが、ほぼ100%、20代前半くらいに見える若い看護師が入って来た時である。

なぜか?
ひょっとしたら高齢者である母が若さに嫉妬しているのかもとも思ったが、はじめに入った病棟では若い理学療法士、作業療法士ととても仲良くなっていたので、必ずしもこの仮説は当て嵌まらないだろう。
ではなぜか?
これはわたしが見ていても実は明らかで、簡単に言えば、(A病院の同病棟の何人かの)若い看護師は患者に対してまだふくよかな対応ができないのである。
これはもうベテランと比べると、「経験の差」であるから致し方ないところはある。
ベテランの人が病室へ入ってくると、付き添いであるわたしも安心感が湧き上がるけれど、経験の少ない若手だと、(大丈夫かな?)と感じるようなたどたどしい雰囲気も時にはある。
もちろん「対人関係」は職業スキルの問題だけでなく、多く全人格的中身がそのまま出てくることもあり、ベテランでもいただけない対応をする人もいなくはない。
けれど全体的にはベテランの多くがふくよかで頼もしい対応をしてくれるのはどんな職業でも基本的に同じか。
いや、そうでもないか、役所などのベテランを見ていたら。
看護師は過酷な現場ゆえ、より人間性に厚みができる人が多いのかもしれない。
もちろんわたしの想像にしか過ぎないが。

A病院の若手(20代前半とみられる。高知赤十字病院で入院していた病棟にはそのくらいと思われる看護師がいなかったので両病院の比較はできない)の患者への対応で目立つのは、
「病室へ入って来た時に軽い雑談やいたわりの言葉ができず、いきなり仕事に入る」
 まあそれはそれでいいのだけれど、ベテランが雑談やいたわりの言葉を発しているだけに、どうしても差が目立ってしまう。
「いかなる場合でも声が大きい」
 これはおそらく上から、「耳の遠い患者も多いから、大きな声でしゃべりなさい」と指導されていて、それを忠実に守っているのだと想像する。
しかしベテランは患者に合わせた声の出し方をしており、やたらでかい声を出す人はいない。
母は耳がまったく遠くはなく、それなのに至近距離で思いきり大きな声を出されては、(うるさい)と感じるのも致し方ない。


繰り返すがこれらは若手看護師たちが経験を積むにつれて解消していける、あくまで若さゆえの至らぬ部分であり、批判しているわけではない。
もちろん若手が少なからず働いているだけで、現場に活気ある雰囲気が醸し出るという魅力もあるし、そもそも若手がいなければ、医療の世界に未来はないのである。
若くして過酷な医療現場で働く若手看護師さんたちにはどんどん研鑽を積み、患者たちの力となっていただきたいものである。

・・・

6月17日だったか、病室の窓から多くの蜻蛉が飛び交っているのが見えた。
かなり高い空中をである。
わたしの中のイメージでは、蜻蛉は秋に飛び、しかも低い空間を飛んでいる・・・だっただけに、その群舞をとても新鮮に感じた。