●我が母、心臓バイパス手術後、大転子部不全骨折後闘病記126日目~病室の窓から見える美しい風景。~北原白秋歌詞の「ペチカ」を山田姉妹で聴いてみよう!

末尾ルコ「母の話、音楽と文学の話題で知性と感性を磨くレッスン」

7月23日(火)手術後126日目
転院90日目


母が前の病棟から現在のリハビリ病棟へ移り、(母が)窓の外をいつも見られる状態になった。
前の病棟ではベッド位置、センサーの位置などの関係で窓が背後になってしまい、特にベッド上安静の時期は車椅子にも乗れないわけだから、1カ月近く窓の外を見ることはほとんどなかった。
前にも書いたけれど、この期間は壁と天井を見ている時間が多過ぎた。
精神衛生上とてもよくない状態である。
現在の病室、そしてベッド位置は母が横になっていたもいつも窓の外が目に入るようになっており、しかもそこから見えるのが山の緑、空、そして雲などの自然がほとんどなのだから、実はわたしもその景観を愉しんでいるほどなのだ。
山と言っても小さなものだけれど、四国山地へと連なる勇壮さの片鱗もあるし、窓枠の範囲に空もかなり広く入って来るので、天候の移り変わりが手に取るように実感できるのがいい。
天候の移り変わりを実感できる心地よさは、地球の運行を感じられる心地よさでもある。
かつて「都会のみ」に価値を置く考えが主流だった時期もあったけれど、そしてもちろん都会の魅惑は抗し難いものがあるけれど、人間は「自然の一部」だという真実を忘れてはならないのですね。
かと言って、極端な「自然でなければダメ」主義は受け入れられませんが。

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長く歌い継がれる、そして歌い継がれるべき日本の唱歌の作詞者を見ると、島崎藤村、北原白秋、野口雨情らの名前が出てきてドキッツとすることがある。
(そりゃあ素晴らしい歌詞のはずだよん)ってな具合である。
特に多いのが北原白秋の作品で、有名なものには次のような歌がある。

「ゆりかごのうた」
「この道この道はいつか来た道」
「あめふり」
「雨」
「ペチカ」
「からたちの花」

特にわたしが好きなのは「ペチカ」であって、もともと好きな歌だけれど、山田姉妹が歌っているのを聴いてさらに好きになった。
山田姉妹の「ペチカ」は『故郷 〜日本の愛唱歌Ⅰ』に収録されているが、「ペチカ」の部分を「ぺエチカ」と発音するのがとてもいい。
「ペチカ」の本来の発音についてはわたしは知らないが、一つの単語のちょっとした発音の違いで印象はかなり変わってくるものなのだ。
一般的に「ペチカー」と語尾を伸ばして歌うよりも、「ぺエチカ」と発音する方がグッと深い含みとなり、悪魔的な美を伴う。
山田姉妹は今秋ニューアルバムもリリース予定だが、「優等生」イメージの強い二人だけれど、彼女たちが創造する美は、天使的であり、悪魔的、あるいは堕天使的でもある。