末尾ルコ「母の話、健康医療・介護福祉の話題、映画の話題」

10月25日(金)手術後220日目
退院後26日目

このところ映画がとてもおもしろい。
母の付き添い中に当然ながらまともに映画を鑑賞できるはずもなく、ひょっとしたら映画鑑賞への渇望の反動かもしれないが、最近も、『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』、そして成瀬巳喜男監督の『浮雲』を(何度目かなあ~)を観たのだけれど、両方とも文句なしにおもしろかった。
日本映画史上というだけでなく、世界映画史上の傑作である『浮雲』について今更わたしがどうこうでもないけれど、今回鑑賞して今更わたしが少しだけ言わせていただければ、やはり主演の高峰秀子と森雅之・・・この二人が決定的だったのだろうと感じた。
いや、最も決定的なのは成瀬演出であることは分かっているけれど、この『浮雲』という作品に他のどんな俳優が相応しいと言うのか。
ま、誰も言ってないでしょうけどね。
大人の頽廃を漂わせる森雅之も凄いし、高峰秀子の縦横無尽にニュアンス溢れる表情と随所、特に屋久島へ向かい始めてから見せる凄愴美の凄まじさと来たら。
で、ふと考えたのだけど、この男女のずぶずぶの恋情を描いた『浮雲』を小学生の内に生徒たちに学校で観せて感想を語り合わせる。
あるいは観た直後に感想を書かせる。
映画鑑賞と読書の違いは、前者は他の多くの人たちと「同時体験」が可能であるという点で、その神秘を徹底的に利用すべきではないか。
小学生たちからおもしろい感想が連発することは間違いないです。
教師からの規制が無ければですが。

嬉しいことに退院後の母もよく映画を楽しんでくれている。
入院前は一緒に観始めても途中で眠ったり、特に外国映画だと観る気を起こさなかったりだったのですが、退院後は邦画も洋画もよく観て、愉しんでくれている。
これって、

「芸術鑑賞は何歳からでも始められる」

一つの証拠になりますね。

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●『エルネスト もう一人のゲバラ』におけるゲリラが追い詰められるシーン。

阪本順治監督の『エルネスト もう一人のゲバラ』。
わたしはチェ・ゲバラの略歴を彼の死よりもずっと後に知った者だから、つまり知った頃は既に現代史上の有名人だったわけだ。
なので『エルネスト もう一人のゲバラ』で描かれた、彼が来日時の日本側の冷淡さには興味を惹かれたし、しかし最も興味深かったのは、ボリビアでの革命戦争中にゲバラの本隊からはぐれたフレディ・マエムラを含むメンバーがボリビア軍に追い詰められていくシーン。
ゲリラ部隊が追い詰められていくリアルなシーンを描いた映画が観たことなかったから。
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https://eiga.com/ranking/ 『ジョーカー』が3週連続1位なのは喜ばしいが、せめて「常に」外国映画と邦画が半々くらいであってほしい。もちろん作品クオリティが問題となるけれど。