末尾ルコ「母の話、健康医療・介護福祉の話題、映画の話題」

2月6日(木)手術後323日目
退院後126日目

母は歩行能力も日に日に向上していると思うし、それは行きつけの銀行でずっと母を気にしてくれていた駐車場係の女性も言っていた。
それは12月のことだったが、
「この前よりもずっとしっかり歩いてられますねえ」と。

「この前」というのはその時より1か月前の11月に同銀行を訪ねた時だろう。
1カ月単位での変化は1カ月単位で姿を見てくれている人が毎日母と過ごしているわたしよりも分かるのは間違いなくて、その彼女の言葉はとても嬉しいものだった。
何度もお話しているように退院後の体重増加はとても気になっているけれど、体力は強化されているのは間違いないと思う。
それでももちろん自宅外での日常の移動は車椅子なのだが。
で、毎日車椅子を押しているわたしとしては同じような状況で生活している人たちの様子はとても気になるし、学ぶべき点も多い。
なにせわたしはまだ「車椅子を押す生活」を始めて4カ月と少し程度なのだから。
で、映画もたまたまWOWOWで放送したからというのもあるけれど、車椅子の主人公の作品を3作鑑賞した。
邦画で、
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
『こんな夜更けにバナナかよ』
洋画で、
『ブレス しあわせの呼吸』の3本。

岩田剛典、杉咲花共演の『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は劇場映画の体を成してなかったけれど(学校の授業で見せられる教育映画みたいな感じなんですわ)、それでも学ぶべき点はあった。
大泉洋、高畑充希、三浦春馬共演の『こんな夜更けにバナナかよ』となると、映画としてもまずまずおもしろかったし、車椅子を押す人間としても、母の毎日をサポートする人間としても十分学ぶべき点はあった。
この作品は実在の人物をモデルにしているのだが、映画だからもちろん随所でカリカチュアされているだろう。
それにしても主人公とボランティアの関りや、つまりは「前向きであるべき」という非常にシンプルだけれどどんな人間の人生にとっても最も大切な心構えが描かれている。

そして『ブレス しあわせの呼吸』はアンドリュー・ガーフィールドとクレア・フォイの共演作で、俳優としてのキャリアも豊富なアンディ・サーキスの映画監督デビュー作。
正直なところ『こんな夜更けにバナナかよ』と比較しても格調の高さが違っている。
ただ、『こんな夜更けにバナナかよ』は絶対お涙頂戴だと思って観たけれど、そうではなかった点はとても好感が持てた。

『ブレス しあわせの呼吸』も実在の人物をモデルにしており、その男性(ロビン・カヴェンディッシュ)は28歳でポリオに感染して首から下が麻痺してしまったのだという。
28歳でいきなり、しかも思いもよらない観戦で首から下が動かなくなったというのは想像を絶するショックであり、「ロビン」も当初は生きる望みを失っている。
が、この妻が驚くべき精神力、体力により献身的に夫を、しかも自宅で介護。
周囲の助けも得ながら、そして彼女に「お金があったから」できたことでもあったのだろうが、しかしこうしたことが「お金があったから」という理由だけでできるはずもなく、そこに何があったか?
愛か?それとも・・・。