末尾ルコ「母の話、健康医療・介護福祉の話題、映画の話題」

7月25日(土)手術後489日目
退院後298日目

『忘れじの面影』をケアマネさんにお薦めしたのは、もちろんそれが映画史上の傑作恋愛映画であるから。
そかしそれ以上に、そう、部屋を探索していたら『忘れじの面影』のDVDが出て来たから。
(ケアマネさんに貸して差し上げよう)と思ったから。
わたしとて随分前に観て以来だから観てみたかったから。

それで観たのです、『忘れじの面影』。
母も一緒に。

久々のジョーン・フォンテーンは記憶していた以上に小柄でチャーミングだった。
アルフレッド・ヒッチコックの『断崖』でアカデミー主演女優賞を獲っている、そして同じくヒッチコックの『レベッカ』のヒロインを演じたことで映画史上に大書される大女優となったという以上に、わたしの中で大書される女優であり続けているのであるのであるのである。

というわけで今回鑑賞した印象は、(ふ~ん、美しくもヘンな映画だなあ・・・)ということ。
男にとっては人生の中の記憶に留めるつもりもないパージの一行に過ぎない女。
しかし女にとっては出会った瞬間から「人生の総て」になった男。
このアンバランスに過ぎる比重を描き、しかも流麗かつ夢幻的な映像で、(ひょっとしたら人生って一夜の夢かもしれない・・・)と想わせてくれるだけでも凄い映画です。

そして舞台がウィーン。
実際にウィーンでロケしたかどうかではなくて、「映画の設定がウィーン」であることが重要で、すぐに連想した2本の映画もお薦めしておいた。
何か分かりますか?

はい。
『会議は踊る』と
『第三の男』です。

ケアマネさん、どちらも未鑑賞だった。
だからといって、「え~、これ観てないの~?」なんて言ってはいけません。
しかしもちろんどちらも映画史上の傑作。
どちらも音楽が素晴らしい。
ご機会あれば、ぜひご鑑賞を。

で、『忘れじの面影』のジョーン・フォンテーン。
『忘れじの面影』、『レベッカ』、『断崖』と、全盛期は短かったけれど、それだけにこれら作品中の輝きは凄かった。

この7月には若手俳優の横浜流星がコロナに感染したが、母が最もお気に入りの若手俳優の一人で、この件については大きなショックを受けていた。
彼の感染発表後しばらく、「あの人、どうなった?」と尋ねてくるんですが、そんなに頻繁に病状報道されないし、まあそれだけ若手俳優に興味を持ってくれるのはいいことだなあとは思うんですけどね。
現在の日本映画、決していい状況ではないですが、個々の俳優は真っ当な頑張りをしている人たちも多いです。
そうした俳優たちの努力についても適宜お話していきます。