「ラブシャッフル」8回目は吉高由里子の出番が多かった。
そしてドラマの展開はさておいて、
「吉高由里子」を鑑賞するには
ある程度の満足がいくだけの内容があった。

松田翔太と吉高由里子の会話。
セリフはもちろん貧困なものだ。
しかし犬の鳴き声がかぶさるシーンは悪くない。

犬の鳴き声には
さまざまなイマジネーションを生む力がある。
もちろん猫の鳴き声もそうだが、
犬の種類にもよるが、
犬の鳴き声の方に
より空虚感、不吉感、孤独感、渇きなどが含まれているだろう。
犬の種類にもよるが。

吉高由里子は
正確にハードボイルドができる可能性を持っている。
ある意味、
「蛇にピアス」はハードボイルド映画と言ってもいいかもしれない。
吉高由里子と松田翔太、
それにかぶさる犬の鳴き声のシーンを観て、
そのまま乾いたハードボイルド映画の世界に入ってくれればと思った。

そして吉高由里子に対して
しきりに「タナトス」という言葉を使う。
吉高由里子に「タナトス」をかぶせるのは
間違いではない、どころか正しい。
吉高由里子ほど
濃厚にエロスとタナトスを湛えている女優は日本にいないから。
しかしドラマやストーリーに
いっさいエロスもタナトスもないのであれば、
それは意味のない4文字言葉へと貶められてしまう。
単なるアクセサリーとしての言葉。

今さら谷原章介が松田翔太にキスするシーンを
もったいぶってもってこられても。

キスはときに
セックスよりもエロティックだ。
吉高由里子には、
そんな作品にも出てほしい。