イザベル・ユペールは一見してため息が出るような容姿をしているわけではない
身長もそれほど高くないし、
顔がハッとするほど美しいわけでもない。
もともと顔にはそばかすが拡がっているし、
今ではかなり深いしわが刻まれている。
けれど若き日から、
イザベル・ユペールはずっと途切れることなくイザベル・ユペールであり続けているし、
「イザベル・ユペールである」という意味は、
年齢を経るごとにますます強く深くなっている。
こんな女優は他にいるか?


年齢を刻んだ女優で恐るべき活躍をしている一人が
シャーロット・ランプリングだ。
特にフランソワ・オゾンの「スウィミング・プール」は
世界に大きなインパクトを与えた。
しかしどうだろう、
かなり長い時期、
シャーロット・ランプリングという名前に価値はなくなっていた記憶がある。

そして例えばイザベル・アジャーニはどうなった?

もちろんジュリエット・ビノシュやサンドリーヌ・ボネールは偉大だ。

しかしイザベル・ユペールの偉大さは、「異常」である。

さすがに吉高由里子に
「イザベル・ユペールのような」とは
今のところ望めない。
しかし
ぜひ観てほしいものだ、
少なくとも
「主婦マリーがしたこと」「ボヴァリー夫人」「ピアニスト」に3本は。
人を変えるだけの力がある、
イザベル・ユペールのこれらの作品には。