例えば宮崎あおいであれば、
いかに「篤姫」で大成功を収めたとはいえ、
映画とテレビドラマの違いははっきり認識している。
多くのインタヴューでそれが分かるし、
軽々にどんなテレビ番組にも出演しないことからも明らかだ。

宮崎あおいと理性、
もちろんパッションもあるが、
理性と強靭な意志を持つのが宮崎あおいだ。

似たようなタイプ、
あるいは似たような認識を持っている女優が、
蒼井優、谷村美月、そして北川景子らか。

では吉高由里子は?
今挙げた最高の女優たち以上に
映画女優としての素質に恵まれている吉高由里子は、
実はまったく違うタイプだ。
「本能」派とでも表現しようか。

それだけに
完璧な「映画女優」であるにもかかわらず、
映画とテレビドラマの明らかな違いをあいまいなままに
認識しているというのは十分あり得ることだ。

「Cut」最新号のインタヴューでその一端が見えたような気がした。
その中で吉高由里子は、
特にテレビドラマが多くの人に見られることに関して驚いているが、
そりゃあそうだろう、
テレビは「家の中」にあるわけだ。
いかに低視聴率ドラマでも
多くの映画よりは大勢の人間が観る。
まあ、その驚き方も
「本能」派の映画女優吉高由里子らしくて可愛らしいものだとも言える。

私が問題にしたいのは、
「Cut」のインタヴュアーの態度だ。
もし目の前で話を聞いている俳優が
映画とテレビの違いをよく分かっていないのであれば、
それを少しでも「いや、映画というものは」という方向に持っていくのが
「映画雑誌」としての役割であり、プライドではないのか。

     この話題、続く。