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イチローを罵倒した、あるタクシーの運転手 [エッセー・闘う敗北者たち]

イチローが敗北者?
ありえない。
日本人唯一の
プロの世界的(野球のあるところだが)スーパースターのイチローが?
しかし、
確かにそんなときもあった。

最近のこと、
タクシーの運転手がWBCで快音の聞けないイチローのことを評し、
「あんな大口叩く奴は出す必要ない」と罵倒した。
イチローについて、
このように言う人間もまだまだいる。
タクシーの運転手は、
打とうが打つまいが嫌いなのだ、
イチローのことを。

イチローを嫌う人間は、
あまりに「彼ら」と違うところを嫌う。
すべてお茶を濁し
「なあなあ」の世界に持っていこうとする日本人の中で、
思ったことを躊躇なく口に出すイチローを憎む。
目標を達成するための
あまりに厳格なイチローの生活態度と
「彼ら」の怠惰な生活態度の違いのために憎む。
さらにイチローのいつまでも少年のようなラインをさえ、
「彼ら」とのあまりの違いのため、
憎む。

イチローは
「彼ら」を不安にさせる存在なのだ。

しかし心配する必要はない。
イチローも憎んでいる。
かつてオリックス時代、
さらにシアトルへ移ってからも、
その圧倒的な実力にもかかわらず、
イチローを敗北者へと追いやろうとした
メンタリティそのものを。

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She's a Rainbow

イチローを日本的文脈で理解しようとするから的外れな批判となるんでしょうね。
ルコさんの言う通り、嫌いな人は打とうが打つまいが嫌いなんでしょう。
イチローは個人を縛り、馴れ合うことで本質を隠す日本的システムを憎んでいますから、その内部にいる人にとっては面白くないでしょう。
毎年200本以上ヒットを打つ技術も、走塁や守備の美しさも、そこに至るまでの努力も、信じられないことに評価の対象とはならないようです。
まあ、そういう人は放っとくとして、しかし、混同してはいけないのは「日本的システム」を憎むのと「日本そのもの」を憎むのとは違うということです。
逆説的ですが、イチローは、日本をかなり愛しているのではないかとさえ思えます。
アメリカという「外部」に身を置き、そこから日本を見た時に、見えてきたものがあるのではないかと思うのです。

ところで、そういえば北川景子はブログでイチローのことを「人間国宝」と言っていましたね。(笑)
完璧なまでにストイックに目標に向かって努力し、実際に結果を残している姿を評しているのだと思いますが、おそらく日本への愛憎にも共感するものがあるのだろうと思います。
常に「外部」を意識すること、勝手な想像ですが 彼女にもそのような姿勢を感じます。
by She's a Rainbow (2009-03-23 17:18) 

末尾ルコ(アルベール)

いつもありがとうございます。
実はわたし、MLBが始まると、イチローがノーヒットの日には憂鬱にになるほどなんですよね。
どうもイチローを矮小化しようという報道や意見がまだまだ目立つのが不愉快です。
でもこれは日本だけではないようですよ。昨年はマリナーズが開幕からずっこけたこともあり、シアトルでもひどい報道が目に付きました。
イチローはアメリカのメディァやファンも「理想」ではないことを痛感したでしょう。それでも日本のメディアよりましでしょうが。

                              末尾ルコ(アルベール)
by 末尾ルコ(アルベール) (2009-03-23 22:29) 

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