男性リポーターはカメラの前にシチューを差し出した。
わたしが興味を持つのは、事前にスタッフ間でどのようなディスカッションが行われたあげく、「シチューをカメラの前に差し出す」という行為を生み出したかという点である。
エリートの集う制作会議の場で、例えばこんな会話が交わされたのだろうか。
「シチューを食べたんだって」
「シチューですか」
「シチューだよ」
「でもディレクター、シチューが分からない人もいるんじゃないですかね」
「ナイスオピニオン!で、どうしたらいいと思う?」
「シチューを見せればいいんじゃないでしょうか]
「カインドオブユー!!よし、それで行こう!シチューと言いながら、カメラの前にシチューを見せるんだ」