瑛次は(我ながら陳腐なセリフだな)、と思った。
良子はすぐさま「何それ、陳腐なこと言って」と追い打ちをかけた。
そんな言葉尻を良子が見逃すわけはなかった。
目は閉じたままだった。
「そんなんじゃダメ、分かってるでしょ。具体的に体の〈どこ〉か言うの」
もちろんそんなことは分かっていた。
分かっていたけれど瑛次は「全部好き」だと言わざるを得なかった。
(そう言えば、今までどのくらい〈すき〉だと言っただろうか)
漠然と瑛次はそんな想いを頭に浮かべた。
(良子に「好きだ」か・・。確かに何度も言ったと思うが・・)
そう思いながらも瑛次の脳裏には、今までに「好きだ」と言った他の女たちの顔が浮かんで来る。

※この作品の中には現実のアンチエイジング方法や健康法などが出てきますが、その作品中で言及される効果などに関してはあくまで小説上のできごと、つまりフィクションであるとお考えください。
実際の効果には、個人差などがあるものだと思われます。