元日番外編 瑛次と出会う前の良子 ある元日の日

リビングへ入る前からテレビの音が聞こえてきた。
良子が先に起きている。
そう言えば、良子が太郎より後に起きたことなどあっただろうか。
リビングのドアへ手をかける前に、太郎は少し唾をのんだ。
笑顔と、快活な声・・。
心で何度かその練習をする。
ドアを開けながら、
「あ~、お~はよう。正月も早いねえ」
しかし引きつっていることは自分にも分かっている。
テレビには羽織袴を着た爆笑問題の太田が映っている。
良子は太郎の方を向かない。
「いや~、寒いねえ。昨夜雪が降ったのかな」
テーブルにはデリバリーのお節セットと寿司。
良子が手をつけた様子はない。
「お、今年のお節はどうかな」
良子は太郎の方を向かないし、テレビを見て笑う様子もない。
ただ、蒼白に見える横顔は冷たく美しい、と太郎は感じた。
それだけに彼の体は強張る。

※この作品の中には現実のアンチエイジング方法や健康法などが出てきますが、その作品中で言及される効果などに関してはあくまで小説上のできごと、つまりフィクションであるとお考えください。
実際の効果には、個人差などがあるものだと思われます。