小さな暗い部屋、田中裕子と松雪泰子がいる。
声をひそめて話をしている。
緊迫顔の松雪泰子。
田中裕子の表情にも緊迫感はあるが、ふくよかな余裕も感じられる。
松雪泰子は尋ねる。
「なぜわたしを棄てたんですか」
田中裕子は答える。
「逮捕されるまであなたを連れて逃げていた。逮捕される直前、どうしようもなくなって棄てた」

「Mother」第7話。
セリフは上の通りではないが、内容はこのようなものだ。
田中裕子の演技には唸らされた。
抑制されきった声の出し方で数十年間の情念をさらけ出す。

「チェイス 国税査察官」最終回のARATAとは違った意味で、わたしは魅了される。

吉高由里子「美丘」にもこのような感動はあるのか?