●わたしがこれら5本の中で最も好きな「嵐が丘」は、ルイス・ブニュエル版です。
最も有名なものはウィリアム・ワイラー版ですが、ローレンス・オリヴィエという俳優は歴史的に「偉大」とされる一人ですが、わたしの感覚ではどうも硬く、映画俳優としての色気に欠けており、どちらかと言えば「高齢」となった時期のオリヴィエの方が好きなくらい。
キャサリン役のマール・オベロン
も物足りなかったです。
ルイス・ブニュエル版の方はメキシコを舞台に翻案した作品になっており、主演がイラセマ・ディリアン、ホルヘ・ミストラルということで、国際的に知名度の高い存在ではなく、しかしブニュエルならではの異様な雰囲気の醸成により、まったく「嵐が丘」ではない場所でエミリー・ブロンテの情念に近付いていました。