●UFC178でキャット・ジンガノ(ジンガーノ)VSアマンダ・ヌネスが行われました。
これはおもしろかった。
女子MMA(総合格闘技)を観てきた中で、最も内容の濃い試合だったといえるかもしれません。
キャット・ジンガノはかねてからUFC女子バンタム級チャンピオンの論だ・らうじーに次ぐ力を持つファイターだと言われていますが、わたしがテレビで観戦するのは初めて。
いわばわたしにとって「まだ見ぬ強豪」の一人。
昔のプロレス雑誌で「まだ見ぬ強豪」というフレーズがよく使われて、ロマンを掻き立てられたものです。
まあ実際に観たら、「え~、これが?」というガッカリ強豪が多かったですけどね。
MMA女子バンタム級はチャンピオンのロンダ・ラウジーが圧倒的強さとスター性を見せつけていて、どの試合も抜群におもしろいのですが、なにせ秒殺がほとんど。
他の選手が太刀打ちできず、抜群におもしろいけれど、「好勝負にはならない」のが普通なんです。
ところがキャット・ジンガノVSアマンダ・ヌーネスは違っていた。
ジンガノが一方的に勝つのかなと想像していたけれど、1ラウンド、いきなりヌーネスが上になる。
そして仰向けのジンガノのディフェンスを破って長い距離から強烈なパンチを入れて来るんです。
これには驚いた。
男子でも女子でも、仰向けでディフェンスしている相手に対して、これだけ長い距離から強烈なパンチが入る光景は、近年あまり見た記憶がなかったから。
立て続けにパンチを浴びるジンガノ。
(このまま終わりか!?)というスリリングなシーンが続きます。
しかし体勢を入れ替え、立ち上がると徐々にジンガノは自分のペースを取り戻し始める。
そしてこれまた驚いたことに、この試合、ジンガノは2回に渡ってきれいにスープレックスを極めます。
低空の、腰の強さと反り、ブリッジだけで相手を投げる、とてもきれいなスープレックス。
しかもそれが試合展開上、実に効果的なシーンで極まる。
こういうのもMMAの試合ではほとんど見た記憶がない。
さらにジンガノは随所でサブミッション(関節技)も狙ってくる。
特にアキレス腱固めなど足関節を試みたシーンは試合を実に魅力的にした。
結局は自力に勝るジンガノがヌネスの上になり、過酷なまでのパウンドで大流血、先頭不能に陥れる。
いや、凄い試合でした。