●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強く美しくする」講座~日本人すべて鑑賞すべき小津安二郎作品、そして「彼岸花」の障子、襖、庭・・・。

さて日本が外国に誇るべき人間の一人が小津安二郎。
あ、「世界に」という書き方と「外国に」という書き方のニュアンスの違いはお分かりでしょうか?
と言いますか、2015年にBSフジ「プライムニュース」へ出演していた石原慎太郎が「日本の科学技術の優位性」を語り、外国と闘っていくには「これだ」と言っていて、きっとそれは間違いではないのだけれど、しかし言いたくなるのは、もうずっと日本は「精神文化」を軽視し続けているのであって、わたしは、「そこだ!」と考えているのですね。

で、小津安二郎。
日本人すべてが鑑賞すべき小津作品群。
NHK BSでもしょっちゅう放送しています。
子どもが観ても「取り敢えず」理解できる。
だからご家族で鑑賞し、語り合うもよし。
しかし「取り敢えず」理解できても、普通の子供には1%も理解できないのが小津作品の凄いところ。
実は大人でも一度の鑑賞では理解できるものではない。
観れば観るほど奥行きへと嵌っていくのが小津作品に限らず「傑作」と呼ばれる映画、あるいは芸術の凄いところ。

小津安二郎監督の「彼岸花」。
その障子、襖、窓、庭・・・。
日本の家が奥から外側へ、あるいは中間地帯から奥の方へ、どんどん深まっていくのを
あなたは目撃する。

あなたは目撃しなければならない。