●末尾ルコ「ジャクリーン・ビセットは、なぜ70年代最高度の美人女優だったのか?」

末尾ルコ「映画俳優演技論」

70年代を中心に、「美人女優と言えば」というテーマを語れば、かなりの確率で名前が挙がったのがジャクリーン・ビセットだった。
しかし思えば、アメリカン・ニューシネマの影響濃厚な時代、「美人女優」自体少なかったような気も。
『俺たちに明日はない』のボニー・クライド役で「永遠のアメリカン・ニューシネマ ミューズ」たる地位が不動のフェイ・ダナウェイもサイレント時代から映画の美を味わい尽くしてきた淀川長治に言わせれば、「とてもまずい顔」なのだ。
わたしは最盛期のフェイ・ダナウェイには魅了された方だが、淀川先生の言葉には常に最大限の敬意を払っている故。
そこで1979年から1989年まで、アカデミー主演女優賞は誰が獲得したかチェックすると、

マギー・スミス
グレンダ・ジャクソン
ジェーン・フォンダ
ライザ・ミネリ
グレンダ・ジャクソン
エレン・バースティン
ルイーズ・フレッチャー
フェイ・ダナウェイ
ダイアン・キートン
ジェーン・フォンダ
サリー・フィールド

グレンダ・ジャクソンとジェーン・フォンダが二度ずつオスカーをかっさらっているが、こうしてみると案の定、「美しい~~」と溜め息をつくような女優が見当たらない。
ジェーン・フォンダはロジェ・バディムの映画などでは抜群のプロポーションを武器としてエロティックなキャラクターを造形しているけれど、顔のみを見れば、元々かなりクセがある。
こんな時代、ジャクリーン・ビセットが「美人女優の代表的存在」と目されていたのも今振り返ればよく理解できる、気もする。


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