●末尾ルコ「『北斗の拳』ザコはなぜいつまでもおもしろいのか?」

末尾ルコ「漫画で感性を鍛えるレッスン」

漫画『北斗の拳』のキャラクターの中でとても多くのファンを持っているのが、いわゆる「ザコ」たちだ。
『北斗の拳』のザコの役割は、ケンシロウをはじめ主要な登場人物に「あっさりやられる」こと、そして「読者を笑わせる」ことである。
『北斗の拳』初期からザコは描かれていたけれど、「あっさりやられる・笑わせる」度はさほど高くなかった。
あくまで「強さヒエラルキー下位の悪役」だった。
ところが「あべし」に代表される、ザコが絶滅する直前に発する「珍奇な叫び」が評判になるにつれ、「主要な登場人物や強い悪役を引き立てるため」に現れるのではなくて、「噴飯ものの振る舞いをし、噴飯ものの死に方で読者を笑わせる存在」になっていった。
これがしかも、たいがい極めておもしろい、その辺のギャグマンガよりずっとおもしろいのである。
さすがに「ザコが100%おもしろい」とまではいかないが、極めて高い確率でおもしろく、しかも繰り返して読みたくなる。
その秘密は何なのか、またじっくり読み解いていこう。

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