●末尾ルコ「セルジュ・ゲンズブール、そのスキャンダラスな生涯を」

末尾ルコ「音楽で知性と感性を鍛えるレッスン」

セルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg、1928年4月2日 - 1991年3月2日
やたらとモテた男だ。
しかしモテたからと言って、セルジュ・ゲンズブールが幸福な男女関係ばかり結べたかというと、そうでもない。
人間の感情はそんな単純なものではない。
ゲンズブールが「ミロール・ラルスイユ」というキャバレーでピアノを弾いていた時代、ボリス・ヴィアンの歌に強烈なインパクトを受けたという。
今、ゲンズブールの映像を見て、そのカリスマ性たるや、まるで画面から浮き立ってくるようで、ゲンズブールは正に「カリスマ性」という言葉に真っ当に相応しい人間に一人だと言える。
フランス・ギャル、ブリジット・バルドー、そしてもちろんジェーン・バーキンなど、ゲンズブールの人生を彩ったり、その歌をうたったりしたミューズたちは数多いが、今わたしがとても興味を持っているのが、1979年に発表された『Aux armes et caetera(祖国の子供たちへ)』だ。
これはフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』をレゲエにアレンジしたもので、この作品のためにゲンズブールは右翼団体などに襲撃されるようになる。
もし今、ゲンズブールが生きていたら、極右国民戦線(FN)が勢力を伸ばす祖国をどう歌っただろうか。

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