●末尾ルコ「キス論~映画『ピース・オブ・ケイク』の失敗を踏まえて」。

末尾ルコ「愛とキスの話で、知性と感性を鍛えるレッスン」

『ピース・オブ・ケイク』で監督の田口トモロヲは、

「日本映画にリアルなキスシーンを」

という一つの創作目標があったに違いない。
そしてそれはとてもいいのである。
日本映画はキスシーンがとても苦手で、苦手なのは日本人の伝統や文化的な部分から来ているので当然でもあるし、「映画で見せるシーン」として、日本人の外見や雰囲気がキスシーンに合わないという部分ももちろんある。
といっても、やはりずっとそうではいけないというのは、「キス」は愛情や官能を表現する行為として最上の手段の一つである。
『ピース・オブ・ケイク』のキスシーンが残念ながら不発に終わっているのは映画の完成度が不発に終わっていることと連動しているが、ただ実際問題として、日本映画はもちろんのこと、洋画史を紐解いてみても、必ずしも「美しく官能的なキスシーン」は多くない。

「キス」というテーマ、今後も適宜探究していこう。

●原稿依頼などは、気軽にサイドバーのアドレスへご連絡を!