●「カープ女子」も感涙か?フォーム変更により魅力を失った、「広島だけど全国区スター」高橋慶彦の話。

末尾ルコ「スポーツの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

かつてスターだったのにすっかり語られることのなくなった選手の一人に高橋慶彦がいる。
広島カープが最も強かった時期に一番バッターで盗塁王も獲得し、しかも顔や雰囲気も女性受けするタイプで、当時どこのチームにも高橋慶彦的選手はいなかったので、山本浩二や衣笠、江夏らとともに「全国区」の知名度と人気を誇っていた。
確かに高橋慶彦、カッコよかった、「あることが起こるまで」は。

高橋慶彦に起こった「あること」とは、抜釘ングフォームの変更である。
もともとのフォームはバットを高めに構えて叩きつけ、内野安打が出やすい打球を飛ばし、脚で出塁していくタイプだった。
それがある時期からバットを低く構えて、水平に近い弧を描くようなフォームに変更した。
要するに、「長打も出る」フォームへの変更だった。
そして確かにすぐに結果は表れた。
フォーム変更した年のホームランが飛躍的に増加したのだ。
しかしその時点で高橋慶彦はわたしにとって魅力的な選手ではなくなった。
がんがん内野安打を稼いでいた時期の高く構えるフォームに比べると、美しくないのである。
元のフォームの高橋慶彦は、いなせな感じを受けるほどカッコよかったのに、新しいフォームではとても鈍重に見えた。
結局フォーム変更後一年目はそこそこホームランも出たのだが、年を追って、打率もホームランも際立ったもののない、「平凡なプレイヤー」となり、もともとチーム内で「反主流派」だったこともあり、ロッテへトレードされる結果となる。